いろいろ社の「いろいろTV」はいろいろ社代表の青木大一郎が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。
第37回目は、ゲストに株式会社ROOTS SPIRAL 代表の齊藤寛子さんをお迎えして、海外での教育視察やワーケーションなど、いろいろおはなしをお聞きしました!
目次
0歳児を連れた世界一周の始まり
株式会社ROOTS SPIRALの齊藤と申します。
独立して12年ほどになります。もともとは人材の会社にいたのですが、教育を変えたいという想いがあり、起業しました。様々な方のキャリア支援や教育改革に関わりながら仕事をし、教育系のNPOへの関わりなども持つ中で、日本らしい同調圧力で生きづらいと感じている人もいると感じ、もっと社会がしなやかに変化していったら良いのになと思うようになりました。
新型コロナウイルス流行の直前に、0歳の息子を連れて多民族の国の教育などを視察させていただいたりしました。
そして今回は、息子が5歳になったのですがちょうど英語に興味を持ち始めましたので、ちょうどよくチャンスがあり、1ヶ月間仕事をしながら海外滞在をしました。そういった実験的な取り組みをしながらの社会づくりを模索しています。
直近は企業の伴走支援、管理職の育成等の仕事もさせていただいていて、その中でいろいろな海外のエッセンスを伝えていたりもします。
いわゆる観光での海外旅行ではなく、Airbnbを使って現地に住んでいる方々と一緒に生活をしたり、ディスカッションをしたりといったことをしました。また、小学校などの教育関連の施設にコンタクトを取って、校長先生とお話をしたり、施設を見学したりもしました。
それぞれの国で移住者の扱いも違いますし、民族の違いも感じながら、社会はどんな仕組みなんだろう、もし生活するならどんな感じだろう、日本人が移住するならどう生活したら良いのだろう、ということなどを考えながら過ごすことで、寛容な社会の仕組みや教育のエッセンスなどを肌で感じさせてもらいました。
本来は夫の育休が3ヶ月あったので、その期間に物価の安い海外で過ごそうかという軽い気持ちでした。
しかし、当時は、息子が大きくなってきた時に、海外に行くのもなかなか難しくなったりもするのではないかという気持ちもあり、最後のチャンスかもしれないと思ったら、欲が出てきまして、行きたかったところをリストアップしてみたら、10数ヶ国とかなり多くなってしまい、その話を夫としていたら、せっかくだから行こうか、と言ってくれまして。
夫は受け入れてくれましたが、他の人達はかなりびっくりしていました。0歳を連れていくというところに反応されていましたね。0歳は話せないし、感覚的にはわからないし、記憶も残らないのに、なんでわざわざ連れて行くのか、というようなことをおっしゃる方もいらっしゃいました。
身軽だね、アクティブだねっていうリアクションが多いんですが、私としては最後のチャンス!というような感覚で、子育てで子どもが動き回るようになったらもう行けないかもしれない、という想いが強かったですね。それで詰め込みました(笑)
5歳児を連れた家族での英国ワーケーション
今回のメインの目的は、英語に興味を持ち始めた息子を、イギリスの教育環境にポーンと放り込んだらどうなるかというのを試してみようということでした。
帯同する親としては、仕事もありますし、どうかなとも思ったのですが、夫がオフラインでの仕事を調整できるタイミングだったので、ちょうど良い機会だなと。
また、夫が小学校3〜4年の時期にイギリスの現地校に通っていたことがあり、「パパの故郷」にみんなで行くこともいい体験になるのではないかと思ったこともきっかけでした。
息子は幼稚園の年中のだったので、現地の保育園を探したのですが、保育園は年齢外ですよ、と言われました。調べてみると息子の年齢だと小学校0年生のような扱いになることがわかりました。日本では小学生ではないのですが、イギリスで小学生を1ヶ月体験してくる、ということになりました。
これもいろいろ紆余曲折ありました(笑)
私の教え子がイギリスに住んでいて、家を借りようと思っていたのですが、そのエリアでは前例がない、やろうとしたけどうまくいかなかった、という話も聞いていて、かなり試行錯誤しました。
小学校に行けると決まったのは、渡航の3日前でした。
運良く、ギリギリで、空いている小学校とコンタクトがとれ、役所の許可もおりて、という結果で、とにかくラッキーでした。
行ってみたい〜という感じでした。パパも行ってたんだよ、という話をしたり、一緒に世界地図を見ながらイギリスの場所を確認したりもしていました。
全部英語の環境だけど大丈夫?という確認もしましたが、きっと大丈夫!という返事で、割と乗り気でしたね。
記憶としては残っていないと思います。ただ、0歳の時の視察では、外国の方たちが赤ちゃんに対して一生懸命リアクションをしてくれ、話しかけてくれたこともあり、帰ってきた後の表情がとても豊かになったという体感があります。五感で受け取る情報が多く、彼なりに成長したのかなと思いました。
そうですね。外国の方たちって強引に抱っこしたりする方もいましたので(笑)
そんな空気感みたいなのは感じ取ったんじゃないかなと思います。
また、すごく良かった点はもう一つありまして、男の子って風邪を引きやすいってよく言われたりしますが、息子はほとんど風邪をひかないですし、コロナになったときも1日で熱が下がってピンピンしてたりでした。なので、もしかしたら、世界一周の間にいろんな免疫がついたんじゃないかな、なんて思ったりしてます(笑)
帰ってきた後に写真や動画を見せながら、ここも行ったよ、こういうことをしてもらったよ、という話もしているので、上書きされた記憶のようなものはあると思いますね。
そのために一生懸命動画を撮ったり写真を撮ったりしました。将来的にもいろんな話ができて良いんじゃないかな、と思っています。
そうですかね。息子も比較的喋るのは好きみたいです。私もそうですし。
何でも話す感じはありますね。保育園のこともいつも話してくれます。
他の子と比較したことがないのでなんとも言えませんが。
加えて、私自身の法人登記のタイミングも重なってしまいまして。なので、ちょうどイギリスに滞在している間に、日本で登記をすることにしたので、法人印など一式持って海外に行くことになりました。
でもタイミング的には良かったと思ってます!
英国でハプニングだらけのスタート
イギリスに行くまでに、トランジットでシンガポールに1日だけ寄りました。少しだけシンガポール観光をして、その後にイギリスに行きました。
イギリスに着いた後にいきなり事件が起こりました。
まだイギリスに到着して、生活を整えている最中のバタバタしているタイミングだったのですが、小学校の登録が終わった後に、ちょっと家族が解放的になってしまい、なんと、スリに遭うという…。
私ではなく夫だったのですが、子どもを肩車しながら歩いているときに、パスポートバッグ一式を盗まれてしまいました。本当に大変だったんです。。。
2時間後、食事の時に会計をしようと思ったら、パスポートバッグがないことに気付きました。クレジットカードも含めて盗まれていて、気付いてすぐにクレジットカードの停止手続きもしたのですが、約2時間の間にめちゃくちゃ使われていて、かなりの被害総額になりました…
そんなこんなで私のカードしか使えない状態になりました。そして、3週目のホリデーウィークという休みの期間にアイスランドに行く計画も立てていたのですが、パスポートがないとアイスランドには行けないのにパスポートも盗られてしまうという危機的状況になってしまいました…
翌日すぐにロンドンの日本大使館に行って手続きをしたり、日本から戸籍謄本を取り寄せたり、大変なスタートになりました。
早朝から子どもが寝ているうちに対応方法を調べまくって、なんとかする、という感じでした。
すられたその日は小学校で登録手続きをするだけで、息子も一緒でした。
発覚してからは息子と遊ぶどころの話ではなくなってしまったので、かわいそうな想いをさせてしまいました。とにかく対応をしないとということで夫婦二人は必死でしたし、警察への届け出もしないといけなくて、でもスリは多すぎるので対応してませんって突っぱねられてしまったりで、証明がとれなかったり。
それなのにカードの不正利用申請をしないといけないといったこともあり、とにかくいろんなことに対応をしないといけなくて。その合間合間に仕事の会議をしないといけなかったりで、落ち着かない1週間でした。
そうですね…、自分たちの油断だったのかなぁ。
それから、その時に通っていたエリアが治安の悪いエリアだということを渡航したばかりで把握できていなかったということもありました。そこに対しての意識が薄かったというのが原因ですね。パスポートバッグも外から紐が見える状態でリュックにくくりつけてしまっていたので、紐が見えてしまえば分かる人には分かってしまうものだったなぁと。防犯対策が甘かったです。
だいたい、という感じです。シティサイドというか、タウンのほうで昼を食べようと向かっていた途中にやられたのは確かで、そのあとにカードを使われてしまった店を調べたら、その周辺の商店街で。同じ時間帯に複数の決済が上がっていたので、複数人の犯行だということもわかりました。組織的にやられたので、もうしょうがない、と気持ちを切り替えるしかない状態でした。
そうですね。すられてしまった次の日から息子も小学校に通い始めました。日本と同じように慣らし期間があり、3〜4日は短い時間で帰ってきました。
幸い、息子は初日から楽しそうに帰ってきたのでそれはとても良かったですね。私にとっては衝撃でしたが、救いでもありました。
ただ…。次の日も夫が財布を落とすという、まさかの2連チャンもありまして…親側が疲弊してピリピリしている状況でした。
せっかく海外に来たのにそういう空気感というのは良くないですし、子どももそのピリ付きは感じ取っていると思ったので、一生懸命立て直しをしました、空気を明るくしよう!と(笑)
息子もリラックスをしながら楽しめるような環境に切り替えてやっていこう、ということで、整えて、次の週からは楽しく過ごせるようにしました。
事件はありましたが、その後はだいぶ充実していろんな体験ができたかなと思っています。
現地での生活の様子と実験の結果
ポンド高ということもあり、1ポンドが約190円でした。
なので、日本での生活のほぼ2倍の価格感で考えていただくとよいのですが、とにかく高い外食になるので、なるべくスーパーに通い、自炊をする回数を増やしながら生活をしていました。
英語は全く話せませんでした。
ただ、その小学校自体が、移民が多いエリアにあったということもあり、国際色豊かな学校でした。そういう意味では、海外からの英語が話せない子に対して、先生方も慣れていました。親身に暖かくフレンドリーに迎えてくださっていました。
中でやるアクティビティは日本の年長さんのやることと近かった印象で、英語のフォニックスと言うんですかね、発音と文字の連動を学ぶようなものがクラスの中でもありました。
基本的には楽しく学ぶという姿勢がベースで、すごく楽しんで帰ってくるという毎日でした。
繊細になったりもするかなと思っていたのですが、そういったことも全くなく、皆勤賞でした。子どもの適応力というのはすごいものですね。
最後の方には友だちもできたり、挨拶程度の英語が言えるようになったり、という感じでした。
学校はセキュリティが厳しく、授業を生で見るということはできなくて、朝見送ったら、14時半くらいに終わって、15分だけ門が開いて迎えに行く、という流れでした。
びっくりしますよね!よくぞやってくれたな!という感覚ではあります。
なかなか馴染めずに学校に行けない日とかも出てくるかなとも思っていましたし、そうしたら仕事もちょっとセーブして、ケアしないといけないかなとも考えていたのですが、幸いそういう事態にはならず、うまく馴染んでくれたので良かったなと思っています。
そうですね。また行きたいというよりは、帰ってくるときに、まだ通いたい!ということをずっと言っていました。帰りたくないって。それくらい楽しかったんだと思います。
先生方やクラスの子たちも、お別れのメッセージカードをみんなで作ってくれたりして、まだ年長くらいで名前くらいしか書けないんですけど、そういったものをまとめてくださったりして、ウォームフルでした。
そうなんですよ。
ーーー放送の際は撮影された画像で旅程を説明してもらいましたーーー
久しぶりの海外だったので、みんなでまた行きたいねという話はしています。
帰ってきてからも子どもが頻繁に地図を見ていて、世界地図が欲しいということも言うようになりました。イギリスやホリデーウィークで行ったアイスランドを一生懸命探したり、他のエリアに関心を持ったりしているので、何か機会があれば行ってみたいなと思います。
行きたいエリアはまだまだたくさんあるので、頃合いを見て楽しみながら行けたら良いなと思っています。
〜第37回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜
齊藤さんをゲストに「海外ワーケーション」について、お話をお聞きした37回目の『いろいろTV』でした。
齊藤さん、特に息子さんのお話をお聞きしていて、「海外」や「英語」といった日常と離れていると感じるキーワードを特別視するわけではなく、経験してみること、経験して感じたことを素直に受け入れることが大切だなと、日本にいても必要となる心持ちを改めて感じられました。
今後の齊藤さんご家族の活躍を楽しみにしております!