いろいろ社の「いろいろTV」はいろいろ社社長の青木が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。
第18回目は、ゲストに株式会社フットメディア スポーツアナウンサー・フットメディアスクール講師の河村太朗さんをお迎えして、河村さんの実況のお仕事のおはなしや、人生が変わる「伝え方」についていろいろお聞きしました!
※ こちらの記事は、放送内容を編集したものです。
目次
青木さん、口を大きく動かしましょう‼︎
よろしくお願いします!
フリーアナウンサーの河村です。
NHKで16年、アナウンサーをしていまして、青森に4年、大分に5年、茨城に4年、仙台に3年、勤務していました。フリーアナウンサーになったのが、ロシアのワールドカップ直前の4年前です。自分が40歳を超えたタイミングだったので、自分の道を考えた時に、このままサラリーマンとして生きるか、フリーになるかを考え、「自分の好きなことをやってみよう」と決断して、フリーアナウンサーになりました。
ちょうど、時代はテレビから課金へ、放送から配信へと変わっていくタイミングで、スポーツ中継もその流れでした。最初はスマホなどの小さな画面でスポーツ中継を観るのってどうなの?という話もありましたが、今はそれが普通になっています。しかも、スマホなどをテレビにつないで、テレビをモニター代わりに大画面で観る、ということもできるくらい画質も向上しました。予見していたわけではないのですが、フリーアナウンサーとして、ネット中継に進むという道は時代の流れにはまっていたなと感じています。
収入という面では、局アナの時の方が良かったと思いますが、生き方としては今が楽しくて仕方ないです!
わかりました!
では、いきなりですけど、青木さん、1.2倍くらい口を大きく動かしましょう!そうすると話すスピードが自然とゆっくりになって、伝わりやすくなります!
開講から2年、伝え方講座への想い
伝え方講座は、この冬で、開講して2年になります。
もともと「教える」ということ自体、やってみたいと思っていました。僕たちアナウンサーは伝えるのが仕事ですから、伝えることについて探究心や追求心をもっています。でも、一般の方はそんなに意識もしていないでしょうし、学校でも習っていないと思います。
プレゼンするとか、人前でコミュニケーションを取るというのがちょっとでもうまくできたら、人生そのもの、例えば、恋愛でも結果は全然違うでしょうし、ビジネスでも商談がうまくいって売上が上がる、など自分に返ってくることが多いと感じています。逆にどんなに良いサービスなどを作っても相手に伝わらなければ売上にはならない。それは「無駄なこと」ですよね。
学生と社会人の違いとして、学生はどれだけ頑張ったか / 何時間かけたか、というプロセスのところを気にしがちですが、社会人は出たものが勝負です。例えば、プレゼンのために何時間かけて、何を頑張ってとやってきても、売上が作れなければ、結果は0です。社会人としては評価もされないし、無駄になってしまいます。
きちんと伝えることが売上につながる、その方法は意外と簡単なことなのに、みんなそれを知らないし、やらないといったことをもったいないなと思っていました。
アナウンサーになる方の多くは、大学入学前くらいのタイミングでアナウンサーになろう、と考え、アナウンススクールに行ったり、アナウンス研究会などの活動をしたりと、スキルを磨いたうえで業界に入ってきます。
でも、僕はもともとパイロットになる!ということしか考えてなかったんです。アナウンサーになろう、という気持ちはなかったんです。スポーツが好きだ、という興味本位で、テレビ局の入社試験を受け始めました。その中で、他の人より良い声してるし、適性あるんじゃないかな、とか思いはじめるわけです。(笑) 結果的にNHKに入社できたのですが、入社すると、同期と比べてもスキルがないわけです。なので、スキルを身につけるため、周りの人に教えを請ったり、現場に出たり、失敗もしながらスキルを習得していきました。
その中で、自分のマインドが大きく変わったのは初任地の青森での経験です。入社半年くらいだったので、とにかく間違えないように注意深くニュースを読んでいました。ある日、視聴者の方にお手紙をいただきまして。「河村さん、丁寧に読んでいて、間違えないし、すごく素敵だと思います。ただ、全く伝わりません」と書いてありました。その手紙を読んだ時、自分はただのマシーンだ、と思ったんです。「間違えないで読む」ということだけを意識していたので、それって、機械でもできるし、誰でもできることなんですよね。多くの人に伝える時、そのマインドで良いのかなと考えるようになりました。実際に「伝わりません」という手紙をいただいてしまっていますし、伝えられていないんだな、と。では、どうしたら伝わる?ということを考えるようになりました。
その時に考えたことは、普段の自分と違う自分を作り上げ、勝手なアナウンサー像に当てはめていたなあと。それって偽りの自分なんですよね。偽りの自分が話したって伝わるわけないなぁと。普段の会話の中でも、普通通りに話すから伝わるわけです。伝えなきゃいけないシチュエーションでも普段通りに話すことが大切だと感じています。もちろん、それが合う場合、合わない場合あると思いますが、自分の立ち位置は探り続けるもので、20年やっていますが、今もご指摘をいただくこともあります。
伝え方もアップデートが必要
そうですね、あります。
先週のゴルフ中継でもありました。自分の考えるアナウンサー像は、かっちりきっちりではなく、ある程度自然体に、フランクにお話する方が良いと考えています。普通通り、普段の会話、という点が大事だと思っています。なので、かしこまっていない、というのは意識をしています。
ところが、InstagramのDMに「言い回しが横柄」「実況やめろ」というメッセージをいただきました。解説者とのやり取りで、「うんうん」という返事をしていたのですが、「返事がうんとはなんだ」と。ここは非常に難しいなと感じていまして、何でも「はい」「はい」と返事をしていると、かしこまり過ぎてしまい、解説と実況の間に壁ができてしまうこともあります。解説が大切なので、解説者にいかに気持ちよく話してもらうかを大切にしています。
ただ、ご指摘はごもっともで、中継の初日にDMをいただいたので、どうしようかなと悩んだ結果、もう一度自分のしゃべりを見直して、立ち位置を変えて対応しました。
見直しはしないとダメだと思っています。
週末に中継が重なったりすることも多いですが、例えば、サッカー2試合の実況をする場合、4チームが関わるので、4チーム分の資料を作ります。そして、その4チームの直前の試合を見る必要があります。試合を見て、もらったデータを自分でわかりやすくまとめ直して、という作業をしてます。
「実況の人は普段は何をしているの?」と言われることもありますが、結構忙しいんです。(笑)サッカーだとチャンスになりそうな空気感っていうのがあるのですが、自分の心と会話をしながら見直す、ということをやっています。
実況の見直しをして、次の実況の準備をして、実況をして、講座の準備をして、講座をして、講座を広めて。常にマルチタスクですね。最近、歳なのか、やらなきゃいけないことが3つ一気に浮かんで、1つやっているうちに2つ忘れちゃったりということもあり…ドラえもんのコピーロボットが欲しいです!(笑)
本当は直前の2試合を観たいんです!
ずっと同じリーグなら良いのですが、サッカーだけでも、Jリーグ、イングランド、イタリア、フランス、ベルギー、スペイン、高円宮プレミアリーグの実況をしています。
取捨選択が必要なのですが、ここはやらないでおこう、と思って調べていなかったりすると、そこの知識が必要になったりするんですよね。おもしろいものです。NHK時代に先輩に言われたことですが、100取材したとしても使うのは2とかだぞと。やはり準備が必要なんですよね。これはしゃべりも一緒で、徹底的に準備しても使うのはそのほんの一部です。
「前の試合と同じ形」とか、「前回よりもここが良くなっている」などを実況するには事前の準備が必要で、「じゅんび」というたった4文字の言葉ですが、やることはいっぱいあります。
全体を俯瞰しながら、客観的に伝える実況スキル
僕の先輩たちは、たぶん惰性でなんでもしゃべれてしまいます。僕は拙いかもしれませんが、一応、その域のつもりです。車の運転や自転車の運転をするかのようにしゃべれないといけない。
「右サイドへ展開、一度戻して、左へ、中、スルーパス、チャンス、右足!」こういうしゃべりは、目で見たものを脳を経由しないで、口と直結させてしゃべる感じです。
これをしゃべっている時、脳は何を考えているかというと、もう別のことを考えているんです。ゲームの展開とか会話の内容とか。しゃべることに集中していると他のことが見えなくなってしまいます。ここで、解説者へ話をふってみようとか、そういうことを気にしてしゃべっています。
ないですね!
僕は、自分の放送を観る時、いちサッカーファン、いちゴルフファンとして、客観的に観るようにしています。「なんでこのタイミングでその話をするかなぁ〜」など思うことはいろいろあって…悪態つきながら観てます(笑)
でも、これは大事なことだと感じています。自分大好き実況みたいになってしまうといけないので。 なので、講座を受けてくれる受講者の方にも同じようにお伝えしています。客観的に観ることが大事だと。
僕は「好きこそものの上手なれ」という言葉が大好きです!
好きだからこそ興味が生まれるし、もっと知りたい、もっと見たいという気持ちになります。こういう衝動は人に言われてどうこうできるものではないです。
サッカー、ゴルフは好きですし、バレーボールは中学でやってました。一方で、ラグビーやアメフトについては全然明るくないんです。だから僕はそこには手を出さないです。相撲は好きですが、「相撲をしゃべる」ということはこれまでなかったので、できるかどうかはわからないです。
ただ、好きかどうか、というのは重要だと感じています。それに、好きじゃないと失礼ですよね。最近は観ている方の方が専門家ですし。
1回の受講で劇的に変わる!伝え方講座について
当然その経験によって引き出しは増えます。だから経験は重要ですね。
ただ、そもそも、プロじゃない人からすれば、今までがすべて我流ですし、独学なので、まずは意識とマインドを変える、というのが大事だと思ってます。経験で培われる部分としては、テクニックや滑舌などがありますが、皆さん、何十年も日本語を話しているわけです。だから普通に会話はできるはずなんです。なんでもない会話はできるので、経験を埋めるというより、マインドを変えて、レベルアップする、ということを目指していますね。
伝え方講座を受講いただくと、皆さん、ドーーーン!とレベルアップします!ドーーーンと!
青木さんも小林さんも、お二人は受講してくださったので感じてもらえていると思います!
青木さんと小林さんが言っていた2点は変わられる方も多いです。
入りを高い音で入る、というのはとても大事です。これだけで印象は変わります。ちゃんとしゃべる時には、ある程度高く入らないと、特に男性は印象が悪くなることもあります。
他にありがちなこととしては、気合を入れてしゃべる時に語尾などが上がってしまうことですね。キャピキャピしたキャラの方なら良いですが、やはり、ほとんどの場合は良くないと思います。
それから、最近、私自身が意識していることは「笑う」ですね。笑うと勝手に声が高くなります。顔と声は連動していますので。
話が少し脱線してしまいますが、最近ホワイトニングを始めてみたので、歯を見せてみようかなとも思っています(笑)しゃべりながら笑うことは難しいんですが、静止画の時には歯を出してみてます!
自分で気づくことが大事だと思っています。
今までは動画での自己評価をしてもらっていたのですが、10月にサービスリニューアルをしまして、受講生同士で、Googleformを使って評価に関するアンケートをとり、集計して見てもらうという取り組みも始めました。動作、表情、目線、外見など、ノンバーバルの部分も含め、発表者を他の受講者が採点するんです。そうすると、受講前が7点くらいだった人が、受講後9点を超えていたりして、フィードバックのコメントなども見ながら気付きをえてもらうという形に変えてみました。
この方法は評判がとても良いです!
企業単位の研修ですと、会社の同僚にやってもらったりしていますので、結構辛辣なことを書く人もいらっしゃいます。ただ、みなさん見事に、9割超の方は点数が上がりますね。
研修に参加いただいた方には、Googleformでの採点に私のコメントをつけて、お手紙をお渡ししてます。
手紙も含め、フィードバックで意識していることは「否定から入らない」ということです。
「いや、…」から会話に入る方って結構いらっしゃいますよね。受け手からすると、「いや、…」という否定から入る人の言葉って、どうしても受け入れ難かったりします。
当たり前のことかもしれませんが、「できていることをしっかりと伝える」、その上で、「もっと良くなるためのアドバイスをする」という姿勢を大切にしています。
はい!その辺も結構気を使っているんですよ(笑)手紙にも、魂を込めて書いています!
そうですね。新人アナウンサーとベテランアナウンサーの差はそこですね。
新人アナウンサーは文字を追うので、「読む」んです。ただ、「読む」みたいな感じで、普段話をする人っていませんよね。ベテランアナウンサーになると、「読む」ではなく、普段通りの話し方になります。そのため、伝わりやすくなると思います。
プレゼンでも同じだと思っていまして、「読まない」、「書かない」。普段通りの話し方ができると良いと感じています。
伝え方のアップデートもできる、回数券が新登場!
サービスのリニューアルに伴い、回数券の販売も始めました!
1回受講してもらうだけで、伝え方が変わります!
ただ、多くの方は、だんだんと受講前の伝え方に戻ってきてしまいます。ですので、受講いただいた方も「できるようになった」と思い込まず、アップデートを続けてもらえると嬉しいです!
ありがとうございました!
〜第18回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜
「口を1.5倍大きく動かす」、新しく意識するポイントを教えてもらえた放送でした。顔を洗った時など、鏡の前に立った時などに実践してみます!
サッカーの実況の前には、両チームの直前の試合を観るという話を聞き、そういった準備があるからこそ、人に伝わる実況ができるのだなと。
河村さんの大好きな「好きこそものの上手なれ」という言葉。前回放送の原口さんの「好きが仕事になった瞬間」という言葉ともリンクし、「好き」という気持ち、「好き」になるからこそ、より深く興味を持てるということがとても印象深い回でした!