いろいろ社の「いろいろTV」はいろいろ社代表の青木が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。
第36回目は、ゲストに株式会社ハーティーマインドなぎの、ハーティーマインドあまぎ取締役の奈木野大裕さんをお迎えして、特定技能や海外人材に対する想いなど、いろいろおはなしをお聞きしました!
目次
外国人の人材紹介事業の特徴
「株式会社ハーティーマインドなぎの」と「株式会社ハーティーマインドあまぎ」の取締役をしております奈木野と申します。
福岡県田川郡川崎町の出身で、中学と高校は長崎に行き、大学は薬学部を卒業しました。大学卒業後は薬剤師として働いていたのですが、その後、介護施設の運営携わり、現在は外国人に特化した人材紹介事業も手掛けています。
趣味は、釣りや旅行などで、アウトドアも大好きです。よろしくお願いします。
薬剤師というアイデンティティはもちろんありますが、他にもやりたいことがあればチャレンジしてみようかなという想いでやっています。
はい。今は4施設で約90人の方と一緒に仕事をしています。介護施設は田川の川崎町にあり、田舎の広い場所で、のびのびとやっています(笑)
また、海外人材の人材紹介事業は、フィリピンの方たちを中心に紹介させていただいており、ネパールやミャンマーなどの方たちも増えてきています。
先日も海外視察ツアーを実施し、経営者と学生、総勢約20人でフィリピンに行っていました。
もともとは経営者の方、かつ、海外人材を採用してみたいという方々に向けたツアーだったのですが、昨年実施したツアーに薬学部の学生が参加し、その方が、視野が広がって将来につながった!という感想だったので、今年も経営者だけでなく、学生でも参加希望者がいればと考え、募集しました。
結果としては、20名の定員のうち約半分が学生になりました。経営者の方々は、介護施設や建設の会社の方が来てくださいました。
途中で学生と経営者で分かれる日も用意しましたが、フィリピンのことを知ってもらうためのツアーで、採用して帰りましょう!というツアーではないので、内容としては学生にも経営者にも良いインプットになると考えています。海外人材を採用する日本企業も海外人材の方に寄り添わないといけないので、その国の文化や背景を知ろうというツアーです。
なので、スラムの視察も行いました。ゴミ山があるエリアとして聞いたことがある方もいるかもしれませんが、パヤタスというエリアに暮らす方たちにドネーション(寄付)しに行きました。今回はパヤタスの子どもたちも30人くらい来てくれました。去年のツアーの際も20〜30人にドネーションを行いました。このような視察も行いますし、日本語学校や看護大学の視察に行ったり、現地の介護施設に行ったりと、フィリピンのいろいろな場所を周るツアーにしています。
それだけではないです。看護大学に関しては、卒業した学生は日本ではなくアメリカやヨーロッパを選ぶケースが多いので、そういった現状も知ってもらうという側面もあります。
日本が一番ということではないですよ、ということを知ってもらっています。
有料職業紹介事業なので、構造的には同じです。
大きく違うことは、海外から人材を連れてくるためにはビザが必要であるというところです。日本の場合は紹介事業者が集客した求職者を、求人企業に紹介するというシンプルな構造です。
しかし、海外人材の場合、海外の日本語学校などで勉強した方を、送り出し機関が集めて、送り出し機関が日本に送ります。送り出し機関の許可がないとビザの申請ができないといったこともあり、海外サイドの手続きと、日本サイドの手続きが必要になります。そのため、日本人のように、明日から働いてください、というような形にはできないようになっています。
送り出し機関は、政府が認定した機関で、海外に就労目的で人材を送り出す際、申請・手続きをする機関です。一般的には、こういう認定機関を通して日本に来ます。
送り出し機関を介さずに日本に来れる国もありますが、こういった送り出し機関を介することが多いです。
はい。国によって、制度が違うので苦戦することは結構あります。だからこそ、足を運んで制度も文化も見ながら事業を運営しています。
そうですね。送り出し機関についてはいろいろなルートがあります。人から紹介してもらう、あるいは送り出し機関から人材紹介企業にアポイントが入るといったこともあります。
ただ、私たちは特殊で、自分たちの足で送り出し機関を回りまくっています(笑)
フィリピンの送り出し機関も数十社回りました。そのなかで私たちや私たちのクライアントのニーズにマッチするところと提携させていただいています。
そうです。全て自分たちの足でやっています(笑)
なぜこういうことをするかというと、みなさんもイメージされるかもしれませんが、ブローカー的な人たちからのピンハネを防止するという面もあるのですが、何よりも、自分たちの目で見て直接聞いてみないと見えない部分がたくさんあります。
曖昧な人たちを介して曖昧な方を紹介するというのは私たちの理念に合っていません。だから、直接足を運んで、信頼できる機関の開拓を進めています。
海外人材の受け入れについて
介護施設を運営し始めて、最初にいろいろなデータを見ていたのですが、その中で、介護業界の問題は生産年齢人口の減少だと感じました。働く人たちがどんどんいなくなるというデータを見て、これは海外人材を採用しないといけなくなる時代が思った以上に近いと感じました。それでフィリピンに行ってみたのがきっかけです。
そこで、ある組合さんから紹介してもらおうと思っていたのですが、表現が難しいのですが、あまりにもブローカーがたくさんいて、こういう現状があるんだ、と思いました。私たちの介護施設では、こういうところから採用したくないなと思い、一から自分で手続きから何から全部自分たちで進めました。
コストはかかりましたが、それでもちゃんと来てほしかったので。このような取り組みを進めていると他社さんからも声がかかるようになり事業化した、という流れです。
当社では、フィリピン人が厨房も含めて5人、ネパール人も4人採用しています。
そうですね。別に日本語が話せなくてもよくて、人柄のほうが優先度は高いのですが、ただ、たくさんの方を面接することができるので、その中でもバランスが取れている方を採用しています。
そのため、当社に来ていただいている方は、みんな、通常の日本語の会話は全く問題ないです。来たときから話せます。
あまり抵抗はなかったんじゃないかなと思います。私がフィリピンにちょこちょこ行っていることも知ってましたし、フィリピン人が入ってくるということもわかっていました。
海外からの受け入れは時間がかかりますので1年後に来ますよ、という話をしていて、文化やカルチャーの勉強会をしたりしてみんなに伝えていました。だから比較的スムーズだったんじゃないかなと思います。
そうですね。今は、紹介している先の企業さんにも勉強会を開催したりもします。
そうでないと、いきなり来て、宗教的な部分だったり、各国によって特色もあったりします。そういったことを理解せずに、働かせてあげようという感覚で採用するとお互いにとって良くない状態になります。そのため、しっかり伝えるようにしています。
介護の場合は介護福祉士を取りたいという方が多いです。
介護福祉士は3年間の実務経験が必要で、初任者研修や実務者研修といった研修が必要というハードルがあり、それを5年以内にとらないといけないという条件もあります。
資格を取得すれば、5年以上滞在が可能なビザに切り替えができるようになります。
そういった方が多いです。介護福祉士は取得の難易度が高い資格です。
日本人でも落ちる方はいますからね。
特定技能は、2019年に制度ができたばかりなので、これからアップデートされていくだろうと感じています。
当社にいる方は、ほとんどが続けて働きたいという方ですね。ただ、5年経ったら帰国して、ビジネスをしますという方もいます。
今は特定技能1号というビザなのですが、介護福祉士になると特定技能介護というビザに切り替わります。そうすると、配偶者や子どもたちを連れてこれるようになります。特定技能介護を取って、家族を連れてきたいという方は多いです。
大きく分けて2パターンですね。
若い子を採用したいというケースもありますし、意外と子どもがいて落ち着いている人が良いです、という場合も多いです。40代の方も結構います。
子どもを置いてきている方は、守るべきものがあるので頑張って働く傾向があったりします。そういった方が欲しいという企業さんもいらっしゃいます。
いろいろな企業さんのお話をお聞きしているとおもしろいです。こういう考え方もあるんだ、ということも感じます。
更には、フィリピンの方やネパールの方の考え方の違いも勉強になったりします。
入る前に何年に1回帰りたいかを聞くことが多いです。有給をためて、1ヶ月帰って良い、というような約束をしたりもします。クライアントの中でも、そういった休暇を付与している企業さんもいらっしゃいます。
企業次第ですね。一気に有給取られると難しいです、という企業さんもいらっしゃるので、面接前に調整します。
逆に、帰るお金がもったいないから5年間帰りません、という方もいます。
自由ですね。私たちは、先日、スノーボードに一緒に行きました。
壱岐で働いている方もいるのですが、そういった方を集めて、クリスマスパーティーを開催したり、交流をしています。
本当に人それぞれで、太宰府天満宮に行ってみましたという方もいますし、休みの日は外に出たくないですという方もいます。
人材紹介事業への想いと温かさ
海外人材の人材紹介事業としては紹介したらサービスは終了なのですが、海外人材を採用した際は10個のサポートする項目というのがあります。
例えば、3ヶ月に1回面談をして国に報告をする必要があったりもします。こうしたサポートを登録支援機関に委託する場合が多いです。有料職業紹介は紹介して終わりですが、その後は登録支援機関として伴走支援をしています。
会社は当社同様に手厚いサポートをしている企業もいらっしゃると思います。人材紹介事業なので、紹介して終わりということもありますね。人材紹介事業のみで登録支援機関はやらない企業、有料職業紹介の免許はなく登録支援機関だけの企業など、いろいろです。
私たちは、各国の現地にいるところから、企業を紹介して日本に来て、5年間終えるまでサポートする、というスタイルでやっています。
有料職業紹介と登録支援機関を同時にやるのは本当に大変なんです。ただ、やりがいはすごくあります。
私たちは、「WELL-BEINGな世界をデザインする」というビジョンを掲げています。
WELL-BEINGは直訳すると「よりよくなること」なんです。今日よりも明日、明日よりも明後日がよりよくなる世界をデザインしたいと考えています。
また、WELL-BEINGには「幸せ」「福祉」という意味もあります。私たちが、日本に来る機会を提供することで、海外人材の方たちはもちろん、その家族まで、国境を超えて幸せを届けられるようにしたいという想いをビジョンに掲げています。弟の学費のために日本に来ている、という方もいらっしゃいます。
私たちは、「日本に来てよかった!」という人が増えるようなサポートをしたいと思っています。なので、形式的な報告書を書くための3ヶ月に1回の面談をするのではなく、伴走支援をしたいと考えています。
日本に来てくださった方たちの想いを聞いて、僕らの事業は何のためにあるのかというディスカッションを部長としました。そこで、僕らにしかできないこと、僕らが関わることでどんな付加価値が提供できるかを考えたときに、僕らが望んでいるのは幸せの波を広げることだと気づいたので、このビジョンにしました。
泣きながら面接をして、絶対に日本に来たいという方もいますし、家族のため、という方も多いです。そういう利他の精神がある、人のために頑張っている方を応援したいと思っています。
ありがとうございます。
次にミッションは、国境を越えて働く人々を支え世界中の人々と共存共栄し、輝く未来を想像する、としています。
最後に私たちのバリューはこちらなんですが、特に4つ目の「世界に3K「感謝」「歓喜」「感動」を届けます」というのはとても大事にしていますね。3K=「感謝」「歓喜」「感動」を届けるというのは意識しています。
介護はよく「きつい」「汚い」「危険」の3Kだと言われますが、僕らは「感謝」「歓喜」「感動」を届けることを伝えたいと思ってます。。
そうですね。おっしゃるとおりで、特定技能は12分野14業種が対象となります。
私たちが紹介が特に多い分野は介護と外食業です。宿泊は特定技能というよりは高度人材として紹介していたりもします。その他ですと、建設、飲食料品製造です。飲食料品製造では壱岐にあるかき氷工場に紹介させてもらっています。
外食業は、旅館の厨房やホテルの厨房なども大将となります。意外と宿泊のビザではなくて、外食業のビザになります。介護施設の厨房も外食業のビザです。
例えば、学校給食のように工場で食品を作る場合は飲食料品製造になります。
わかりやすい例だと、土木の作業の方などを紹介しています。
特定技能という制度自体が、日本人と同等以上じゃないとだめだという制度なので、日本人と同じ賃金、あるいは、同程度の賃金にするため、賃金台帳を提出してもらうこともあります。
私たちが支援する支援費を考えると、日本人を採用するより割高になることも多いです。
ありがたいことにリファラルが多くて、クライアントから次のクライアントを紹介していただくケース、海外人材に関する勉強会を主催して出席いただいた企業さんから相談いただくケースが多いです。そのため、広告を出したりもあまりしていないです。
私たちも、人手不足になるだろう、人手不足になってからだと遅いだろう、というところから受け入れを始めたのですが、受け入れてみたらそれ以上の価値に気づきました。
国際化していくためには、人材を受け入れる仕組みを整えないといけないのですが、そもそも日本人に対してもマニュアルがない、教育なども含めた制度が整備されていないということに気がつき、自分たちがやらなければならなかったことが見えてきました。
受け入れてみたら、フィリピンの方もネパールの方も本当にホスピタリティが高かったのも印象的でした。利用者さんとお客さんという距離感ではなくて、ファミリーというか、自分のおじいちゃんおばあちゃんのように接するのです。彼女たちが国に帰ります、というときは泣いてしまう利用者さんまでいました。そういう、ファミリーのような関係性を築くのが本当に上手なんですよね。
人手不足で採用するというよりも、この人たちだから採用したいと思うようになりました。もちろん、日本人の採用もしていますが、現状は全体の1割くらいが海外人材です。
ちなみに介護事業の場合、正社員の半分の人数までは海外人材を受け入れて良いという基準があります。
台湾などは介護施設の7割が海外人材だったりもするそうです。また、関東の介護施設も海外人材の受け入れが進んでいて、福岡はちょっと遅れているかなという印象があります。
事業拡大の方向性と大事なこと
メインは西日本ですね。ただ、一番遠方は北海道のクライアントで、お菓子工場です。実際に現地を見に来週訪問します。
今のところどんどん増やそうと思っています。
新規でご相談いただける方もですが、リピートも増えています。1名採用した後に、もう1名採用したいというケースもあります。そのためにはマンパワーが必要です。また、ビザの範囲が拡大され、ドライバーなど、紹介できる分野も拡がるので、それに対応したりといった必要性も出てきます。
はい。人材不足は程度の差はあれ、いろいろなエリアで起こっていると感じていますので、地方にも海外人材をしっかり届けられるようにという想いもあります。
また、地方で働いている外国人からの相談も増えてきています。なぜなら、紹介して終わり、という業者が結構あるからですね。
私たちのように登録支援機関を兼ねている業者でないと関係が希薄だったりもして、誰が登録支援機関なのかわかりません、顔を合わせたこともありません、という方も結構います。そういった方が僕たちのところへ相談に来たりもしています。
こういう方たちをなくしたいとも思っています。地方の企業も、日本に来た海外人材も困っているのでそれをサポートしたいと思っています。
受入企業が望めば、登録支援機関を変更することは可能です。
それでもどうしても転職したいという場合もあります。
僕の中ではそれはないと思っています。どこの国が良いですか?と聞かれることはよくあるのですが、国の違いよりも個人の違いのほうが大きいと感じています。
フィリピンにもいい人もいれば悪い人もいるし、田舎が馴染む人も都会が馴染む人もいます。個人として良い人を選ぶということが大事です。
ただ、一つ言えることは、国によって制度が異なります。例えば、外食のビザのテストを実施していない国、建設のビザのテストを実施していない国などもあります。そうした場合は必然的に人が少ないんです。国の事情によって、業種に偏りがあったりもします。
そうなんです。紹介業者によってはミャンマーだけ、フィリピンだけ、といった紹介元の国が少ないケースがありますが、この場合は対応できる業種が少なくなってしまったりもします。
私たちとしては色んな国の対応をすることで、いろんなクライアントの要望に応えたいと思っています。
私たちですと現状のニーズをヒアリングさせていただくところからスタートします。まずは私たちのような会社に問い合わせるところから始めれば良いと思います。
例えば、農業でも夏は忙しくても冬は暇だから不要、という場合もあったりします。この場合は通年で雇わなくてはいけないという制限があるので、難しかったりします。半年来てもらって半年帰って、というのはできません。いろいろな状況を確認しながら、この国の方なら可能性があるのではといった提案をさせていただきます。
おっしゃるとおりです。
日本人が働きたくない会社って海外人材も働きたくないんですよね。日本人に全く人気がないんですよ、という相談が来たら、まずはそれを解決しましょう、という話をしたりもします。そういったアドバイスもさせていただく場合もありますね。
それが大事なんです。
〜第36回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜
奈木野さんをゲストに「海外人材」について、お話をお聞きした36回目の『いろいろTV』でした。
とても印象に残り、僕自身のとても良いインプットになった点を2つ。
1つ目は、「海外人材」と聞いて、僕自身が勝手に少し距離を感じていましたが、「日本人が働きたくない会社って海外人材も働きたくない」というお話を聞いて、現実的に考えるヒントをいただけました。
もう1つは、「3K」。奈木野さんの考える新しい3K。
「感謝」「歓喜」「感動」の「3K」。「WELL-BEING」もそうですが、実際に事業を運営されていて、奈木野さんが実感を持って使われている言葉は非常にすっと染みました。
今後の奈木野さんたちの活躍を楽しみにしております!