【いろいろtv_#14】大人の社会科見学 「ドラマや映画に出てこない弁護士のお仕事・企業法務」

いろいろ社の新たなプロジェクト「いろいろTV」。いろいろ社 社長の青木が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。

第14回目は、ゲストに如水法律事務所代表の橋本道成さんをお迎えして、弁護士のお仕事や企業法務について、いろいろなおはなしをお聞きしました!

動画再生

目次

弁護士になるためには、どうしたらいい?

よろしくお願いします!今回も素敵な夜景ですね。どちらにいらっしゃるんですか?

赤坂におります。どうぞよろしくお願いいたします。

前回橋本先生にいろいろTVにご出演いただいたときには、”坂学会所属の橋本さん”にたくさんおはなしいただきました。

今日は港区の坂についてですかね?

ではなくてですね、今日は企業法務のおはなしをお聞きしたいと思っています(笑) 最初に改めて自己紹介をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

弁護士の橋本と申します。青木さんとは中学高校と同級生で、大学で上京しました。大学卒業後、福岡に戻ってきてロースクールに通いました。

その後、大阪四大事務所のひとつである北浜法律事務所に入社しました。当時で50人程弁護士が在籍していまして、今では100人くらいの規模の事務所です。そこからみずほ証券で株式公開の仕事をしたり、三井物産で株主総会の仕事をしたりさせてもらいました。

東京や福岡の行き来を繰り返して、2017年に独立をして福岡市中央区赤坂に如水法律事務所を開業しました。現在は弁護士は1人ですが、来年から弁護士がもう1人増えるので寂しくなくなります(笑)

そういえば、なんで弁護士になったかのおはなしを聞いたことがなかったなと思ったんですが、最初に弁護士を目指した経緯をお聞きしてもいいですか?

小学生の頃に夢とか書く機会あるじゃないですか?

あれを見たら、医者と書いていて、中学2年生くらいまで医者になりたいと思っていました。でも化学とか物理が苦手で、文系に行った先の大学が官僚になる人が多かったので、大学入学後すぐは官僚になろうと思っていましたね。

文部科学省に入って、日本の教育を変えようと思っていたんですけど、大学3年生になって官僚になる人って、大学の単位を取るだけではダメで、優良可の優をたくさん取らないといけないんだよと教えてくれる人がいて。私は可ばっかりだったので、これではなれないと思って官僚を諦めて今に至る感じです。

そういう経緯だったんですね。最初に北浜法律事務所に入られたと思うんですが、たくさん弁護士事務所がある中でその事務所を選んだ理由はなんだったんですか?

福岡にも弁護士事務所はたくさんあるんですよ。今福岡に弁護士が何人くらいいるか知ってます?

パッと思い浮かぶだけでも5人くらいいますけど、どれくらいですかね?150人とかそれくらいですか?

福岡には今1500人くらい弁護士がいるんですよ。

そんなにいるんですか!

当時僕が弁護士になったときで500人くらいはいました。事務所の数で言っても、100単位であると思います。

弁護士の先生って増えているんですね。

福岡はずっと増えていますね。

そういう意味では福岡にもたくさん事務所はあって、規模や人数しか差はないんですよ。人数が多いから、大きな仕事をしているかというとそうではないので、事務所選びは難しかったんですけど、僕らの頃はまだ牧歌的な時代で、事務所を見学させてくださいとお願いすると採用予定のない事務所でも見させてくれました。そんな感じだったので、いろいろな事務所に行ったり、弁護士会主催の事務所説明会に行ったりしてる中で、北浜事務所に出会いました。

僕が就職活動を始める2年程前に福岡事務所を出して、福岡事務所の仕事が増えてきたのでアソシエイト弁護士を募集していました。いろいろなところを見ている中で、北浜事務所の先生が東京や大阪を中心にお仕事をされている方で、弁護士の中の賞を取るような有名な先生に出会いまして。

その先生が福岡の案件で大きいのは、東京の事務所に流れているんだよというのを聞いて、そういう案件の受け皿になるような事務所で働けたらなと思っていたので、北浜事務所への入社を決めました。

紛争解決だけが弁護士のお仕事ではない!企業法務のお仕事内容とは?

今日は企業法務についてお聞きしようと思っているんですが、北浜事務所自体がもともと企業法務が多い事務所だったんですか?

いろいろな事務所がHPに実績を出していますけど、交通事故や離婚などを出している事務所は一般民事よりなんですよね。そうではなくてコーポレートや M&Aを出しているようなところは企業法務をやっている事務所です。もともとそういうことは理解していたので、企業法務をする事務所なんだとわかった上で北浜事務所に入社したというのはありますね。

弁護士になる勉強をしているときから、企業法務をやりたいと思っていたんですか?

それが難しくてですね、身近な弁護士ってドラマに出てくるような一般民事が多いんですよね。1対1で向き合って、被害者のためにという一般民事のほうがイメージ的には一般的で、企業法務って何をしているんだろう?という部分がありましたね。。

北浜事務所に入って、企業法務に携わっていくうちにその道を目指していこうと決められて現在に至るということですね。北浜事務所にいたときはどんなお仕事をされていたんですか?

弁護士が50人いたので、人数が必要な時間も結構あって、例えば M&Aをするときに法務デューデリジェンスという法律的に問題がないかの調査を弁護士4〜5人のチームでやったりするんですけど、そういう案件に携わらせてもらいましたね。

北浜には、独禁法で有名な人や検察官出身で不正調査で有名な人もいたので、指導してくれるパートナーがいて、その下でいろいろなヒアリングをしたり報告書を書いたりする不正調査のチームにも入れてもらいました。北浜はもともと倒産で有名な事務所で、倒産と言っても個人の破産とかではなくて、会社の再生案件、特に民事再生や会社更生などが得意なんですね。僕がちょうど入社したときに、福岡で債務が270億くらいの会社更生事件があって、そのチームに入れてもらったりしていました。

大きい事件もあるし、顧問先の一般的な債務回収だったり、契約書のレビューだったりをやっていましたね。

あとは出向もされていたんですよね?

そうですね。

今でこそ出向は珍しくないんですけど、当時は積極的に出向させている事務所はあまり多くなかったですね。東京の大きな事務所は留学をするのがひとつの大きな目的だったので、出向は珍しいパターンでした。

北浜は大きな事務所ですが、みんながみんな留学をするような事務所ではなくて、留学したい人は留学をしてもいいし、他の人は他のことをすればいいみたいな感じで。たまたまみずほ証券に出向していた人が帰ってくるタイミングで、誰かいかないかということで手を挙げていかせてもらいました。

株式上場を目指すとこですよね?

公開引受部という上場を目指している会社のコンサルティングとして、支援サポートに入って、会社が抱えている課題を解決していって、最後に審査部に引き継いで厳しくチェックをして問題がなければ、推薦できる状態までいけばそこから証券取引所に申請して審査を受けるんですが、その前段階をするという感じですね

そのお仕事って、それ以前はやられていなかったわけじゃないですか。

そうですね。顧問先で上場を目指しているくらいの会社はあるんですけど、実際に上場の準備で何をしているかということは伝え聞くくらいしかないので、中に入ると会社法は会社法でも上場を目指している会社の株式に関する部分だとか、取締役会や株主総会などの細かい部分までは見ていなかったり、出なかったりしていましたね。

あとは会社の規定をチェックしたり、会計や税務の部分もそれなりに把握していないといけないし、担当者として行っているので名刺に弁護士と書いていなかったんですよ。弁護士と書いていないから、法律の専門家として行っていたら法律のことばかり聞かれていると思うんですけど、証券マンとして行っているので税務や会計もすべて聞かれていました。

それはかなり大変ですよね!周りはベテランの人なんですか?

そうですね。周りはベテランの人ばかりで中には会計士の資格を持っている人もいるし、そうじゃない人もずっとやってきているので経験値がすごいですよね。

本当に幅広くの幅が法律のはなしじゃないところまで広がっているんですね。そこから現在の事務所の設立になるんですか?

みずほ証券は、2012〜2014年でそこから一度福岡の事務所に戻ってきて、2015年に今度は三井物産に出向しました。それは短期間だったので、2015年中に戻ってきて、2017年に独立しました。

弁護士としての独立のきっかけと、揉めない独立の仕方とは?

独立のきっかけは何だったんですか?

ひとつは証券会社の出向がきっかけになっていて、上場の仕事って前向きな仕事なんですよね。

弁護士の仕事って、紛争の場合後ろ向きになるんですが、上場って会社を成長させようという気持ちでオーナーの利益だけではない部分が強くなります。上場しない方がオーナーの利益になるんですが、上場するとそのあたりをフェアにしないといけないのでオーナーからしても自分の身を削ってる。上場する場合、監査法人の費用や東証に収める費用もあるので、お金はかかるんですけど、それでも前向きに進めて行こうとするのはとてもいい世界だなと思っていました。

それを考えたときに、今の如水というグループは監査法人も税理士法人も社労士事務所もあったんですが、法律事務所だけがなかったんです。このグループにいることで、上場をトータル的にサポートできるのかなと思って独立を決めました。

独立をされるときって、それまでのお客さんをどのように引き継ぐんですか?完全に興味で聞いていますけど(笑)

弁護士の世界って、結構事務所やパートナーの先生についているお客さんと自分個人についているお客さんがあって、例えばアソシエイト弁護士などは、事務所からお給料をもらっていることが多いので、事務所のお客さんと仕事をすることが多いんですね。

それとは別に弁護士の世界って副業フリーなので、事務所のお客さんとコンフリクトがなければ、時間が許す範囲で仕事していいというのが不文律みたいになっています。

ダメな事務所もありますが、フリーになっていることが多いので自分の開拓したお客さんが何社かあって、そこに独立することになりましたというはなしをして、あとはお客さんが決めるという感じですね。北浜というブランドを選んで、今までありがとうございました!と言われるのか、これからも先生にお願いします!と言ってもらえるのかという感じになります。

独立のときに揉めることもあるんですか?

事務所のお客さんを連れてでようとすると揉めるかもしれないですね。

顧問弁護士が関わる企業法務の領域と仕事内容とは?

ここからが本題になるんですが、今の事務所でされているお仕事についてお聞きできればと思うんですが、今現在結構顧問先ありますよね?

そうですね、おかげさまで50弱くらいありますね。

どういった顧問先でどういったお仕事をされているんですか?僕たちも橋本先生に顧問をしていただいていて、契約書を作成するときにお世話になることが多いですよね。あとはいろいろらいんというサービスを作るときに、サービスのはなしから将来的な展開まではなしをして、規約作りや揉めないようにするための仕組みづくりをお手伝いいただきました。いつも本当にありがとうございます。他のお客さんもそういうやりとりが多いんですか?

そうですね。契約書のチェックが一番多いですね。

僕の顧問先は、スタートアップやベンチャー系、成長は目指さない中小企業が多いので、どちらも契約書のチェックはありますね。スタートアップやベンチャー系であれば、新しいサービスを切り開いていこうというのが多いので、利用規約などのチェックもしています。あとは労働系ですね。紛争になる前に労務管理をきちんとしようというところですね。

早田先生が出られていたと思うんですが、早田先生と同じグループなので共通の顧問先もあります。一緒に労務管理の仕事をすることもあります。

企業や業界の法律もありますよね?お客さんの業種によって、その範囲の法律もキャッチアップしていかないといけないということですよね。

そうですね。建設系だと建設業法もありますし、下請を使っている会社だと下請法もありますし、お医者さんだと医師法や医療法もあるので、業法は多いですね。

業法は新しい顧問先ができて、初めての業界だったらそこからキャッチアップをしていくんですか?

そうですね。建設業法や下請法など、一般的なものだとある程度押さえていて、この先のためにより細かいところを勉強しておこうとかいうのもありますし、上場を目指しているところがあればそれに向けて新たに勉強することもありますね。

業法はメジャーなところは司法試験のときに勉強をしているということなんですか?

司法試験は憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法など、基本的なところしかやらないので、業法はないんですよ。業法はあくまで弁護士になってから勉強するものなんですよね。

結構大変そうですね。

法律をきちんと勉強しておかないと、結構大変ですね。さらに改正も多いですから、それも追いかけておかないと結構置いてけぼりになります。

大変ですね。顧問先の業界が増えるとキャッチアップしないといけない法改正も増えるということですよね?

そうですね。人によっては業種をある程度決めている人もいますね。そうすると業法は同じなので、その業界の法律に詳しくなるので、より専門性は高まります。

橋本先生の場合、そういうスタイルではないわけじゃないですか。顧問して頼られればどんな業界でもという感じなんですか?

成長を目指すような企業に関わることが理想ですね。

グループとしてもそうですよね。いろいろあるってことですね。

いろいろ社と一緒ですよね!

小林さんも何かお聞きしておきたいことはありますか?
マニアック業法ってどんなものがあるのかな?というのは気になりますね。

何があるかなあ?難しいですよね。

でも業法があるということはそれを調べればいいんですけど、業法がない場合もあるんですよね。例えば、エステなどはまだ規制があまりないので、医師法や医療法などエステに直接関係するものではなく周辺の法律があって、そこに抵触しないようにしないといけないという決まりがあって、そういうところは難しいですよね。

例えば、建設系だったら建設業法とビシッと法律があると、建設業法を守っていればだいたい問題ない。あとは景品表示法など一般的に適用される法律もあるんですが、そういうものでない限りは建設業法を守っていれば大丈夫なんですけど、まだ法律ができていないこともあります。

IT業界などもそれに近いところがあるでしょうね。

法律に規制がないような業界は、周辺の業界や類似するような法律を見ながら、何かあってもリスクがないようにと考えられるんですか?

そうですね。どういったものが適用されるんだろうとまずそこから考えるので、なかなか骨が折れる作業ですね。。

IT業界を支援されているとそういう会社というのは新しいことをしているところが多いと思うんですが、そういうケースも多いんですか?

この業種、このビジネスが法律上で問題ないのかどうかというのは、結構厳しくみています。証券会社も厳しくみていますし、弁護士もそもそもこれがいいのかどうかをチェックしていますね。

周りに同じような会社があって、上場会社が同じようなことをしていると、なんらかの条件をクリアしているんだろうなと思うんですけど、周りにやっている会社がない、独自のサービスとなるとこれは本当に大丈夫なのかな?と思うケースもありますね。

契約書のチェックはAIを導入して、効率的かつ確実にチェック

顧問先がどんどん増えていくと相談事も契約書のチェックもどんどん増えていくと思うんですが、どのように対応しているんですか?

いい質問ですね!最近ではAIが契約書をチェックするというCMなどもあると思うんですが、そういうツールを使っています。

今まですべて弁護士が目で確認をしたり、雛形と照合したりしていたんですが、一旦AIでスクリーニングをかけるとこういう文言があるから相手に有利になっていないですか?とかこういう文言に変えた方がいいんじゃないですか?というチェックをそれなりの精度でやってくれるんです。

もちろんそれプラス自分の目でもチェックしますが、一度スクリーニングしているとチェックも早くなりますし、慣らされていきます。チェックの速さもはやくなるし、指摘事項や追記もすぐできるのでお客さんの満足度も高いですね。顧問先は増えているけど、ツールを導入することで時間は有効に使えています。

素晴らしいことですね。AIを2年くらい使っていると、使い心地もどんどんよくなっていくもんなんですか?

そうですね。進化はしていますし、AIの癖みたいなのがわかってくるようになります(笑)

AIでも読み間違いしやすいところってあるんですよ。ここではこう指摘するけど、他の条文にここの指摘されているところをカバーしているものがあるんじゃない?というのがどんどんわかってきます。同じAIを使っていても、使用頻度や長さによって使いこなしレベルも変わってくるかなと思っています。

AIのツールを使っているのは、弁護士の先生たちの中でも一般的なんですか?

関西はそれなりに導入しているみたいですね。リーガルフォースを入れている事務所が200以上あるみたいですね。会社も2000社くらい導入している状況ですね。福岡は僕の周りでもあまり聞かないですね。

リーガルフォースは企業顧問よりのサービスなんですか?

契約書のチェックツールなので、契約書が必要なBtoBのためのものですね。特に弁護士だけではなく、法務部に訴えるイメージもあるのでBtoBの契約書をイメージしたサービスですよね。

それで200事務所、2000社だと結構多いですよね。僕らも日々相談させていただくときは集中して相談させてもらっているんですが、そうでもないときは連絡を取らない時期もあるので、いい顧問先なのかはわからないですが、関係性も進め方もうまくいっているなと思う顧問先ってどういうところなんですか?

青木さんのところもそうですが、チャットワークでやりとりをさせてもらえるところは結構いい感じでできるなと思っています。

福岡の会社で法務部を持っているところが少ないと思うんですが、管理部とグループを作ってもらうと管理部全体で弁護士とのやりとりを見てもらえるし、管理部の人が誰でも弁護士とやりとりできるのでスムーズですよね。

チャットワークなどのツールを使ってチームの中に入れてもらう形にしてもらうとやりやすいですし、会社の人たちとも意思の疎通がしやすいです。メールを打つのは大変じゃないですか。見たかどうかもリアクションを押せばいいので、そういう形でコミュニケーションを取れるとうまくいっているなと思いますね。

コミュニケーションのハードルが低いということなんですかね?

そうですね。コミュニケーションがないと、顧問いるけど、相談しなくてもいいじゃんみたいになってしまうので、コミュニケーションのハードルを低くしておくことは大切ですよね。

僕たちも橋本先生とやりとりさせてもらっていますけど、例えば税理士事務所さんとかだと、先生じゃなくて担当の方とのやりとりをするんですけど、弁護士事務所とのやりとりは基本橋本先生が前に出てやりとりするんですか?

弁護士法の関係もありますし、スタッフが前にでることはあまりないですね。もちろん事務的なことはスタッフでもいいと思うんですけど、それ以外の契約書に関わる部分とかはスタッフではできないかなと思います。

弁護士の先生とやりとりするとなると、メールよりチャットの方が気は楽ですよね。

メールだといちいち時候の挨拶を考えたり、お世話になっておりますとか考えたりしないといけないのでちょっと緊張しますよね。

パッとコミュニケーションが取れていれば、契約書もスムーズにできていきますよね。こちらもニュアンスを聞きたいこととかあるんですよね。契約書をもらってどういうところが気になっているのか、どういう契約相手なのかどういう力関係なのかなどは大事ですよね。力関係によってどれくらいの内容にするかが変わります。補償する補償しないといったときに、明確に補償しないと書くと書き換えられる可能性もあるので、そういう場合は明記しないほうがいいですよね。

あとは、「〜〜がない」と書くのと、「〜〜は知る限りない」と書くのと、「〜〜は知りうる限りない」というのもちょっとした言い回しですが違います。契約書は細かいことを言い出すといろいろな工夫の仕方があるんです。

たしかに僕たちが相談したときも、ニュアンスのことでメッセージをいただきますよね。ちなみにそこはAIでは見てくれないところなんですか?

AIもチェックはしてくれるんですが、契約は結局は人と人なので、アナログ的な対応が求められることもありますね。AIは補助ツールとして、言い回しを検索するのはいいと思いますし、自分で作った条項案をアップロードすることもできるので、そういう部分はうまく活かしながらやっていますね。

顧問弁護士と契約するメリットと良好な関係性を築くコツとは

顧問先でやりにくいと言っては変ですが、困ったなと思う顧問先というのはどういうところで感じますか?

例えば、契約書を見てくださいと言われたときに、契約書のどちらにも名前が入っていない場合だとどの立場かがよくわからないということもあるし、会社の問題意識がわからない場合ですね。契約書のチェックをお願いしますと連絡があっても、そもそもどういう背景でこの契約を結ぼうとしているのかとか、初めての取引なのかそうじゃないのかとかは困ってしまいますね。

僕らも長くお世話になっているので、いろいろ社のことを知ってもらっていると思うんですが、顧問契約をするというパターンとスポットで契約するパターン、どちらが企業の経営者としていいと思うところはなんですか?

会社の背景や事業内容を把握できると、契約の見方ひとつみても変わるので、そういうのを知ってもらえるのは会社のメリットですね。

あとは顧問契約をしているんだから、気になったことを気軽に聞いてみようという風に気軽に聞いてもらえます。スポットだと1回聞くと何万円もかかってしまうので、そのせいで見落としが出てきてしまうこともあります。そういう風に契約書が月に2〜3件のチェックがあると顧問契約の方がいいのかなと思いますね。

でも何ヶ月に1回くらいのペースであれば、スポットでもいいのかなと思います。

たしかに!僕らが相談をさせてもらうのって、契約書のチェックもそうですけど、お客さんの対応に関する相談とかって、割としているのかなと思っていて、そういう相談もできるのは顧問をしてもらうことのメリットかなと思いました。そういうお願いの仕方ってどうなんですかね?

顧問じゃないとなかなか相談に乗りにくいですよね。スポットで頼むときって契約書という媒体がないと相談に乗りにくいかもしれないですね。僕たちも契約書などがないなかで、どういうような料金体系で受けるか悩むときはありますね。

僕たちの場合、あるお客さんとコンサルの契約が終わるというときに、どういう風に綺麗に終わるかみたいなご相談をしたことがあるんですけど、終わりに向けて生じるリスクを排除していくためにというはなしって、契約書とかのはなしでもないわけじゃないですか。ビジネスとしてのオペレーションの一環みたいな相談もよくあるんですか?

そうですね。顧問だとそういう部分も含めてありますよね。そのときも相手の会社がどういう会社なのかまで見えると、こういうやり方がいいとか提案ができますね。修正やコメントの入れ方も会社によって変わります。

たまにいるスーパーマウンティング弁護士さんみたいな、契約書のやりとりをするときに思いっきりマウントとってくる弁護士さんっているじゃないですか?そういうところで弁護士としてのスタンスみたいなのが人によって違うんだなと思いました。橋本先生みたいに前に出るか、中立でいるか、ちょっと下手にでるかを相手に合わせてしてくれる先生と、常に全力で上をとりにくる人の差ってなんなんだろうなって思っていて、こういう人と対峙したときの対処法って何かありますか?

契約書って杓子定規にしようと思えばいくらでもできるんですよね。それってあまり意味がなくて、いくら力関係がないところから上からとってもじゃあ契約しませんと言われたらもうおしまいなのだし、逆にそういうスタンスでくるところと初めての取引をするとなると信用できないなと思ってしまいますよね。

弁護士が取引を潰してしまうというはなしになりかねないので、個人的にはおすすめではないですね。

でもこんなに厳しく契約書を見てやったのに!というアピールをしたいならそういう人でもいいかもしれないですけどね。

なるほど!アピールの可能性があるわけですね!

杓子定規に有利に変えていけば楽なので、頭を使わずにできるということでしょうね。そういう弁護士にあたることがあったんですね?

結構な確率であたることがあるんですよね。
僕もお客さん先の弁護士さんがそういう先生で、これは絶対に揉め事になるだろうなという対応のアドバイスをもらったことがありましたね。その先生によってのスタンスなんだと思うんですけど、いろいろありますよね。

そうですね。でもそこはやっぱりビジネスをどう捉えているかにもよるかもしれないし、契約書のチェックにどれだけ慣れているかにもよりますね。

慣れていないと画一的なやり方の方が楽ということですね。

契約書のチェックのやり方って習ったりはしないので、結構自己流だったりするんですよね。そうすると正しいと思っているものに全部寄せて行ってしまうでしょうね。

中小企業ですと力関係が弱い企業をサポートしてきたからこその柔軟性ということなんですね。

以前一度厳しいところでこんな会社と契約しなくていいんじゃないですか?と言ったことありましたよね?

ありましたね!

何度も契約書の内容を変えてくる人がいたのを覚えています。

このやりとり不毛だなと思う案件がありましたね。1秒でもはやくはなしを前に進めたいのに、まったく建設的なはなしにならないのはよくないですよね。

相手の会社とその弁護士間のコミュニケーションが取れていないとそういうことになるのかもしれないですね。

そろそろお時間も迫ってきたんですが、来年新しい先生も入られるということですが、今後どのようなことを考えられているかを最後にお聞きできればと思っているのですが、いかがでしょうか?

如水グループの理念である「九州の経済の発展に貢献する」という部分で、僕の場合はIPOや株式公開が中心になるかもしれないけど、それ以外にもベンチャー企業は契約で失敗する会社が多いのでそこのサポートをしたいですね。

リーガルフォースを使っているので、スピード感も保ちながら、人が増えることで精度も速度も上げていけるのかなと思っています。地道にやっていくのが、今後の目標ですね。

今後九州経済を支える先生になられるということですね!

そうですね。今はまだ福岡だけなので、まずは佐賀・大分、そこから熊本、鹿児島と徐々に広げていきたいですね。

今後ともどうぞよろしくお願いします!本日はありがとうございました!

〜第14回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜

顧問として、お世話になっている橋本先生。
企業法務という視点で改めてお話を聞くと幅広い経験を基にアドバイスをもらえているんだということを認識できました。

契約書のチェックというのはわかりやすい相談の形ですが、お客さまへの対応や事業やサービスの設計などでも法律の専門家としてサポートいただけるという企業法務/顧問弁護士としてのお仕事についても話を聞くことができ、相談する立場としても、(相談上手/頼り上手になるための)良いインプットをいただけました。

新しい先生の参画も間近、今後の橋本先生の活動がとても楽しみです。