いろいろ社の「いろいろTV」はいろいろ株式会社の代表の青木が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。
第26回目は、ゲストに森尚樹さんをお迎えして、カナダ移住や事業について、いろいろおはなしをお聞きしました!
目次
森さん、カナダでの3事業
よろしくお願いします。今は夜の八時です。
僕は今、社会人16年目です。2007年に新卒でリクルートエージェントに入社しました。リクルートの人材紹介部門の会社です。6年ほど勤めていました。
その後、担当していたエムスリーキャリアという会社に転職し、人事の仕事などをトータル4年くらい、その時に、青木大一郎さんと小林弘輝さんと一時期同僚でした。
2017年に脱サラして、約1年、フリーランスで人材系の仕事をして、法人成りをして、Rasisat株式会社を創業して、現在6期目になりました。
2021年の12月に家族でカナダに移住して、今はバンクーバーの東にあるラングレーという街に住んでいます。バンクーバーが新宿だとしたら、ラングレーは八王子みたいな、ちょっと郊外のイメージをしてもらえると良いと思います。
現在はカナダに、日本の会社の子会社を設立して、留学エージェント事業なども始めました。
日本の会社では人材紹介、採用支援、動画制作の仕事をしています。動画制作は、僕がカナダにいるので、最近はできていません。
人材紹介を希望している求職者とのやりとりに、いろいろ社の『いろいろらいん』を利用しています。いつもありがとうございます。
人材紹介の集客はYoutube経由で集客しています。
「名もなき転職チャンネル」というYoutubeチャンネルを運営していて、チャンネル登録は8,400人くらいです。主にYoutubeを見て、個別転職の相談をしてくださる方から連絡が来て、ご支援する、ということをやっています。
また、もう一つ別のチャンネルも始めました。「名もなきカナダ移住チャンネル」というチャンネルで、カナダに移住したい、親子留学したい、といった人を対象にしたニッチなチャンネルなのですが、ようやく先日登録者数が1,000人を超えました。
ということで、現在は、留学エージェント業をしながら、カナダで社会人留学している人のコミュニティを運営して、カナダでいい経験をしていただき、日本に戻るタイミングでの転職活動を日本の会社の方で支援するというループをうまく回しながら生活しています。
カナダ移住を決意したきっかけと、お金
同僚だった時、僕はサラリーマンっぽくて、上司にちゃんと忠誠するような人間で、独立をするようなタイプではなかったと思います。
ただ、会社で働くことに疲れてしまったのかもしれないですね。
それから、家族に双子がいるのですが、双子が生まれたときに会社初の育児休暇を取り、家族と向き合う時間が増えたことで、仕事ばかりしているのも良くないかもしれない、と感じました。育児休暇を取った2ヶ月間くらいで今後の人生を考えて、サラリーマンでいることが良いのかどうか悩みました。
そして、育児休暇から戻ってきたら、弘輝さんが退職してましたね(笑)
僕はそこまで強い思いはなかったのですが、妻にはカナダに限らず海外の英語圏で子どもを育てたいという思いがありました。妻は高校生の時に1年間留学した経験があるのですが、もう少し早いタイミングで経験できていたらもっと良かったという思いもあったようで、子どもたちが小学校に上がるタイミングで行こうという話になりました。
当初はオーストラリアで計画していましたが、新型コロナウイルスの流行で、国境が開くのが遅かったオーストラリアは検討外になり、第二候補だったカナダにした、という流れです。
もともとは、妻と子どもたちだけ海外に行って、僕は日本からお金を送る、というような予定だったのですが、コロナでフルリモートで働けるようになったという影響は大きかったです。
収益のメインは人材紹介事業だったので、クライアント企業さまとの打ち合わせなどもオンライン化され、日本にいる必然性もなくなったので、たまに日本に帰ったりしながらならやれるんじゃないか、だったら一緒に行っちゃおうか、ということになりましたね。
一番の不安はお金でした。当時、カナダで法人を作るつもりはなかったので、子どもたちは留学生扱いでした。そのため、公立の小学校でも一人あたり1年間で150万円。子どもが3人いるので、年間450万円の学費がかかるんです。3年行ったとして1,350万円かかることになります。
もし日本にいて、中学受験のために塾に通って、、、といったことをした場合、同等程度の学費になるような計算なら良いかなと考えて計算したところ、3年くらいならイーブンだなと考え、そこで帳尻があった感じですね。
そうです。普通の小学校です。現地の地元の子もいれば移民の子もいれば、留学生枠の子もいるといったごちゃ混ぜの現地の小学校ですね。
カナダで日本を相手にする働き方
言葉が英語であること以外は変わらないですね。子どもたちが学校に行っている間に仕事をして、とか。
ただ、大きく変わったことは仕事を全て自宅で行うようになったことですかね。自宅の1部屋をホームオフィス化して、集中して仕事できる環境を作っています。
学校は14:30くらいに終わっちゃうので、それまでに仕事を必死にやって、Youtube撮影して…カナダの小学校は帰りにお迎えに行かなきゃいけないので、14:30〜15:30くらいはお迎えの時間になっています。
子どもたちが帰ってきてからは夕方の仕事タイムで、夕食後のまさに今のこの時間(現地は20:00、日本は12:00)ですが、日本の求職者さんと面談をしたりしています。夜の仕事タイムを終えて24:00には寝る、というワークスタイルですね。
ちゃんと24:00から7:00くらいまで、7時間くらいは寝ている健康的な生活です。
不都合はないんです。
元々計画していたオーストラリアは時差が1時間だけだったので、支障はないなと思っていたんですが、カナダに来てみて昼夜逆転ではあるものの仕事はしやすい時差かなと思っています。こちらで少し早起きすると、日本時間では夜の11時くらいなので求職者さんとの面談もしやすいです。
土日の面談希望の場合でも、そもそもカナダの金曜日が日本の土曜日なので、調整しやすかったりします。夜間に日本の人とちょっとしたLINEのやり取りをする、などもできますし、こんな時間にLINEを送るのはちょっとな…。と思うときは『いろいろらいん』の予約配信機能を使っています。ちょこちょこ宣伝入れていきますね(笑)
また、今日のような時間だとちょうど日本の企業との打ち合わせもできます。
カナダの午前中に作業をしておくと、日本のクライアントさん的には夕方に仕事を投げたら朝起きたらもう仕事が終わっている、という感覚になるようで、使い勝手の良いパートナーとして見てもらっていることもありますね。
移住の壁は英語?
人によってはおすすめできる、という抽象的な回答になってしまいますね。
例えば、独立的な働き方ができるとか、カナダでも仕事を見つけられる特殊なスキルを持っている、という方であればカナダでもなんとかなりますが、そうでないと子どもが留学生扱いとしてかかる学費の負担がきついです。
子どもを留学生扱いにしないようにする場合は、僕みたいにカナダで法人を作るとか、保護者のどちらかが大学に通うとか、カナダで仕事を見つけるなどが選択肢になります。
それができるのであれば良いのですが、誰しもにおすすめできるものではないかなと思います。
かなりざっくりですが、できる、できないで言うなら、できます。
日本法人の子会社をカナダで作って、そこのヘッドを誰にするか、というところを自分にするだけです。なので、日本の法人がある程度の業歴があって、自分がカナダに行く意味がある、という説明を国境の人にきちんとできれば、就労ビザがおりる、という流れになります。
就労ビザを1回取るだけなら英語の要件はないです。ただ、永住権をとるとなると、英語の要件があります。永住権は国籍は日本のままだけど、カナダに住めるということになりますので、僕は頑張って英語の勉強をしています。
IELTS(アイエルツ)という移民の方を対象としたテストで、僕の場合は6.0を取らないといけないんですが、TOEIC換算だと…どうですかね。900点以上とかですかね。
うちの場合は妻がネイティブの人とも会話できます。そのため、現地でのちゃんとしたやり取りは妻に任せきりになっちゃったりします。ただ、僕も現地のバスケ仲間とバスケをするなどのときは、なんとかなっていますね。
そうですね。永住権を取ってもずっとカナダにいるかどうかはわかりませんが、子どもたちがカナダの高校や大学に通いたいという場合もそれが可能ですし、日本の高校や大学に通いたいということになっても、どこかのタイミングでカナダに戻っても良いという状態になります。カナダのほうが良ければカナダでしばらく過ごす、といった選択肢の幅が作れ、多拠点生活ができる人生というのが良いなと思っています。
未想像のキャリアを振り返って
1年間のフリーランス生活までは想像していましたが、日本で法人登記することひとつとっても、会社員時代の僕にはハードルが高いものだと感じていましたし、法人化したら人を増やさないといけないという固定観念もありました。ただ、始めてみたら、コンパクトに事業運営を続けることもできていますし、自由な仕事の仕方があるなというのは走りながら考えていったという感じです。
事業運営や組織マネジメントなどに無知の状態で、事業責任者をしていました。有り物の知識だけでやろうとしていた自分が、バカだったな、と思う部分があるので、もっと勉強するべきだったと思いますね。
うーん…あのときは自分で考えましたね。でも、リクルートで先に独立した先輩が複数いたので、売上の見込みなどを先輩に相談できたのは良かったですね。
エムスリーキャリアのあとの転職ということは考えていなかったですね。
フリーランスでやっていけなくなったら、ヘッドハンターの会社や別の人材紹介の仕事に転職して稼げばいいや、というような、約束されていないセーフティーネットみたいなものは勝手に考えていました。
僕が単身日本に戻ってくるという選択肢ですね。あとは、カナダが家族に合わなければ日本に帰ればいいや、というカジュアルな海外移住でした。
脱サラのタイミングや海外移住のタイミングなど、重要なタイミングは話をしました、ブレストしたり。でも、法人化とかは特に話はしていないです。
そうですね。大きく背伸びをするというよりは、少しずつ背伸びしているかもしれないですね。
留学についての課題感と想い
カナダに最初に来たタイミングでTwitterのフォロワーが3,000人くらいいて、カナダに来た日本人経営者の新参者の中ではそれなりに多いという状況でした。そのため、面白がってフォローしてくれるようになり。日本でHR経験が長くてカナダにいる人として、何かやれないかなと思いました。
社会人留学でバンクーバーやカナダに来たけど、キャリアをうまく描けずに迷子になっている方をたくさん見かけるようになり、これはなんとかしないとなという使命感のようなものが芽生えました。
社会人留学をしている人たちが情報共有をできるようなプラットフォームを作ろうというところからスタートして、良い事例が生まれたり、留学エージェントのあり方ってこうしたいよね、という理想が見えたりとか、帰国後の就職支援はこうあってほしいよねという情報が得られたりしました。
それを留学エージェント業や帰国時の就職支援事業として事業化していったというステップでした。
ペルソナ的には20代後半、独身、そこそこ高学歴で1〜2社経験の人が「人生どこかのタイミングで長く海外に行きたかったんだけど行けなかった」という強い思いと、「転職したい、キャリアチェンジしたい」という思いが合体してくる感じです。
単純にキャリアチェンジするということだけなら日本でも成立するかもしれないですが、例えば、営業からマーケティング部門にいきたい、という気持ちに留学したいという気持ちをミックスさせて、カナダでマーケティングを学び、日本に戻ったときにマーケティングへのキャリアチェンジをする、というようなキャリアチェンジで活用するケースが多いですね。
でもうまくいく人とうまくいかない人がいるので、そこをサポートしたいと考えています。
日本で言うところの専門学校に近いのですが、「カレッジ」というものがあります。
半年間マーケティングを学ぶコースを選ぶと、半年間フルタイムで働けるビザが出る、というものです。1年間学校に通ったら1年間働けるビザが出るという感じです。
そうです。カナダの制度なので、これを活用したくてカナダを留学先に選ぶケースは結構多いですね。
既存の留学エージェントというのは、カナダって良いですよ、とか、このカレッジは国際比率がこのくらいだから英語環境ですよとか、ここはお値段が割引中でお得ですよ、という話をして留学に行かせる仕事ですが、僕は一歩踏み込んで、留学を終わった後のキャリアをどうしたいのかというところからヒアリングして、ゴールから逆算して、カナダでどんな経験をした方が良いのか、留学をする前にどういったことをやらなければならないのかということをしっかりとプランニングする留学エージェント業をやっています。
多くの人はもっと楽に考えて、留学行ってからでいいじゃん、と思っているので、僕のような考え方をあまり選ばないということはわかるのですが、それだとあとで迷走してしまうことを僕は知っているので…。だから口うるさく言うようにしていますね。
そうですね。非常に優秀な方が多く、良いマインドの方も多いです。今後の日本を支えるような人だと思いますし、良い経験を海外でしてそれを日本に持ち帰って良い影響を与えられる貴重な人材の方々だと思っています。
だからこそ、適当な留学エージェントのアドバイスや中途半端な帰国後の転職エージェントの支援で彼らの経験が無駄になってしまうのは本当にもったいなくて、その悪行為を止めるべく、やってます。
(笑)
留学をするならいつがいい?学生?社会人?
すごく難しくて、すごくいい質問ですね。
大学生で行くのももちろん良いと思います。学ぶことも多いと思います。
ただ、今後どういうキャリアが良いのか、どんな仕事が向いているのか、自分のやりたいのはどんなことなのかは大学生にはまだわからないことも多いと思います。
社会に出てみて、経験のベースを作って、今後の方向性の道筋をつけた後に社会人留学に行く、なおかつ、結婚や出産などのライフイベントが起こる前の20代後半あたりはいいタイミングなんじゃないかなと思っています。
南米、韓国、中国などの方が多いですね。ただ、日本人はキャリアチェンジのための留学を考えることがありますが、南米、韓国、中国の方は自国を出て永住を目指すことが多い印象ですね。できるだけ長いビザを取得したいので、この制度を使うケースが多いようです。
僕はビザコンサルではないのでビザのアドバイスはしてはいけないんですが、学びとしてはいろいろあって面白いです。
転職&留学エージェントについて
そもそも留学エージェント業と転職エージェント業を二足のわらじでやっている人はカナダではいないようです。
カナダに来たことで、いい意味でレアな存在になれたようです。バンクーバーではある種特別なポジションになれてきたことはこれからも追求していきたいなと考えています。
Youtubeをメインの集客チャネルにするために育てつつ、SNS活用もやっていきたいところですね。
日本の会社はこれからも一人で良いと思っているのですが、カナダの事業に関してはうまくいくなら、アルバイトでもいいので拡大したいと思っています。
社会人留学をしている人が経験を積むための受け皿のひとつにもなれたら良いなという気持ちもあって、留学エージェント業のYoutubeやブログ記事などについては、フィーをお支払いしつつお手伝いいただくことが出てきました。留学エージェント業から少し広げて、カナダでの求人メディアっぽいこともやってみたかったりとか、もうちょっと広げて家族移住の事業とか、いくつかやりたいことがあるのでそれを留学に来ている人に手伝ってもらいながらやってみたいというのがこれからの挑戦ですね。
最近、留学エージェントのWEBサイトを作ってくれた女性がいるんですが、それをポートフォリオにして企業にプレゼンしたことで、現地企業への就職が決まり、今日から働き始めるんです。こういう良い循環ができてきました。
カナダに来たらカナダ人を相手に、とか、英語で事業を、とかそういう思いがあるものですが、僕の中ではそれは捨てました。日本人を相手にしたって良いじゃない、と思いまして。そこは割り切ってます。
でも、外貨を稼げる事業ではあるので、カナダドルを稼いでます。
円安がすごいので、日本円だけで稼いで、両替してこっちで暮らすというのは苦しいので、円とカナダドルの両方を稼げるというのは心の安定に繋がります。
フルリモートで日本の仕事をカナダでやっている人も結構いますね。
ビザの関係もあっていろんなパターンはありますが、日本とカナダ両方で稼いで納税して、という方が多い気がしますね。
日本で当たり前にやっていたことは外国では価値になったりすることもあります。アメリカや北米のほうがIT化が進んでいるというイメージがありますが、意外と日本は進んでいます。日本はツールが整っていたりします。
また、日本人がやっているということ自体がウリになることもあります。海外だから、北米や米国だから新しいことを、と気負わなくてもいいかなとは思います。
森さんの今後
あと3ヶ月位で40歳になるのですが、30代前半はエムスリーキャリア、後半は脱サラして…という感じでやれることを増やした時期だったと思います。
40代は、まずは永住権を獲得して働く・生活するという選択肢を増やすのと、もう一つは自分がプレイヤーとして出ていかなくても事業ができる環境を確立したいと思っています。
今はYoutubeで自分で話してますが、いつまでも僕が話しているわけにもいかないですし、どこかのタイミングで自分が手を入れなくてもできる状態にピボットしていかないとな、と思っているので、その仕組を作っていくのが40代かな、と思っています。
あ、家族で話をしているのですが、もし日本に戻るとしたら住む場所は東京じゃなくてもいいよね、ということになっています。日本に戻る場合の住む場所の有力候補は、福岡だったりします。なので、帰国時は福岡を見に行くかもしれないです。
〜第26回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜
カナダ移住とカナダ移住者のお仕事についてお聞きした『いろいろTV』26回目の放送でした。いつも視聴いただき、ありがとうございます!
森さんとひさびさにお話させてもらいましたが、以前の同僚としての印象よりも、YouTuberとしての森さんの印象が強く、放送中に何度かYoutubeで観た人と話しているという感覚になったことが新鮮でした(笑)
自身や周囲の実体験を元に留学エージェントや社会人留学の方のコミュニティ運営を始められ、コミュニティの方との協業、本業?!の日本でのエージェント業との連携といった展開は、事業開発の視点からも、事業領域の拡大のステップとして、とても勉強になる時間でした。
福岡への移住の際はいろいろ株式会社へご連絡ください!(笑)