いろいろ社の「いろいろTV」はいろいろ社 代表の青木が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。
第34回目は、ゲストに九州プロレス理事長の筑前りょう太さんをお迎えして、九州プロレスの活動や今後についてなど、いろいろおはなしをお聞きしました!
目次
プロレス大好き少年がメキシコで修行
福岡生まれ、子どもの頃からプロレスが大好きな筑前です。
どうしてもプロレスラーになりたくてメキシコに行きました。その後、他のプロレス団体などで活動し、九州に戻ってきて、「九州ば元気にするばい」という想いで九州プロレスをやっております。
辛いときもどんなときも九州のお世話になっているなと気がつき、九州に恩返しをしたいと考えるようになりました。
英語も通じないですからね。スペイン語で話すしかなかったです(笑)
行きの飛行機の中で、地球の歩き方を見て、勉強し始めました(笑)
メキシコはプロレスが盛んで、例えばミル・マスカラスなんかもスペイン語なんですよね。だからなんとなく知っている単語がいくつかはありました。
修行なので、福岡にいる時にアルバイトで貯めたお金で生活していました。
最終的に3年滞在していました。
今、思うとスペイン語を話せるようになれば良かったなぁ〜…!(笑)
当時24歳で、若さゆえといったらズルい言い方かもしれませんが、当時の僕はメキシコ人が大嫌いでした(笑)。だからレスラー仲間の親友もいて、日本人コミュニティにいたので、努力を全然しませんでしたね。今は反省しています。
その通りです!
九州プロレスの施設慰問活動について
本当ですか!ええ〜(笑)ありがとうございます。
プロレスという道具を使って、いかに地域に元気を届けるかということを考えて、付け足し付け足しで増えていきました。
関東から帰ってきて、団体を立ち上げた時は、「プロレスはたくさんの人を元気にできる」、だから、絶対、職業としても成り立つと思っていました!
ただ、全然今の形は想像していなかったです。活動していく中で、こういう元気の届け方があるのか、こういう元気をもらうこともあるのか、という気づきを得ながら今の形になっていきました。
そうです。ただ、プロレスラーという存在は野球選手やサッカー選手とは違いまして、見た目でそれ以外にあり得ない、という存在なんです。だから、会場の中でもそうですし、世の中にポンと放り出されたときこそ、その力を発揮できる部分もあるのではないかという想いがありました。外に出て元気を届けていく必要性が今のプロレス界にはあるのではないか、と思っていました。
試合を見に来てくれて応援してくださるのは本当にありがたいのですが、見に来てくれないと元気を届けられないという状況があったので、もっと多くの人にこの素晴らしさを届けたいと思っていました。
なんとなく、面白いだろうな、というのはずっと感じていたんです。スーツ姿の社会人の皆さんの中に、いきなり裸の筋肉をたくさんまとった人間がタイツ1枚で飛び込んでいくわけなので。
最初は「九州プロレスを立ち上げました」という記者会見を、福岡の市役所でやりました。ありがたいことに福岡の全マスコミが来てくださって、テレビでも新聞でも報道してもらえました。
それを見た福岡のデイケアサービスの事業所さんが、「選手の方に来てもらえませんか?!」とお問い合わせしてくださったのが一番初めですね。
それで行ってみたら、「わー!!」「キャー!!」って…(笑)
高齢者の中に飛び込んでいくのはなんとなくイメージができていたのですが、予想以上に喜んでもらえました。
そのときに気がついたのですが、高齢者のみなさんもですが、職員さんも活気づいてくださるんですよね。僕らは30分くらい居たら帰ってしまいますが、その間にどれだけ職員さんに元気をお渡しできるか、ということを考えるようになりましたし、意義を感じていますね。
まずは入場、プロレスというのは入場が肝です。職員さんに煽ってもらうんですよ。今日はとんでもないやつが来るぞー!!って。
1ヶ月くらい前から施設内にポスターなどを掲示してもらうので、皆さん、待ちわびているんですよね。プロレスラーが施設に来るなんて、なかなかないことですし。その日が迫り、いよいよその日が来たら、スタッフの方から前口上があります。
施設の方は、高齢者や障害者の方たちに元気を与えるプロフェッショナルですから、どうやったら皆さんがドキドキするかをよく心得ていらっしゃる。だから、その方に煽ってもらって、いざ登場!
これだけで出来上がっているんですよね。なんなら、ポスターを貼ってもらうだけでもう十分だったりするわけです。クリスマスだってなんだって、待っているときが一番楽しいでしょ!
これが一番のギフトかなと僕は思うんです。
登場後は選手によってやることが違いますね。
僕の場合はジャージを着て出ていって、いろいろお話をして、ラーメン屋なんかの地元トークをして、普段のトレーニングをお見せして、それを職員さんにやってもらったりして。
そう、職員さんってヒーローなんですよね。例えば保育園や幼稚園の先生は子どもたちのアイドルです。そういう方たちが前に出てプロレスラーとなにかするだけで子どもたちは大盛り上がりです。
そして、「こういう運動をやって、どんな体ができたか見たいですか!?」「うわー!見たいー!」となって、ついに脱ぐわけです。そして体を触ってもらったり、お姫様抱っこをしたりといったスキンシップをして、時間になったら「さよなら!!」って出ていくわけです。
アドリブです(笑)。入場のところまではある程度決めて、あとは雰囲気を見ながらですね。
各施設の方たちは本当に尊い方たちだなって思います。
選手によっては子どもたちと綱引きをしたり相撲をとったりしますね。
高齢者と子どもたちでは目的は違うと僕らは思っています。
僕らはプロレスラーになりたいという一つの夢を叶えさせてもらったという存在なので、その義務として、子どもたちには、夢は叶うんだよ、ということを伝えなくちゃいけないんじゃないかと思っています。
そのためには、食事などの生活習慣、睡眠時間について話をします。そうすると僕らが帰ったあとは、子どもたちはお昼ご飯を食べてお昼寝をするんです。だから伝えることは、「好き嫌いをしないこと」「しっかり寝ること」それを約束して帰ります。それを繰り返せば、夢は実現すると話します。
そうそうそうそう!
そういう声も聞こえてきたりしますから、嬉しいもんですよね!
いつもスーパーヒーローな先生たちが、そのときばかりは僕らに「わー!」ってなるわけですから、そうすると、なんというかスーパー神様みたいな存在になりますよね(笑)。
いろいろ想いはありますが、一番は、この地域を作ってくださったことへの感謝です。
デイケアって、そこに行って初めて出会う方ばかりなんですよ。社会人として、活躍をされてきた方たちがデイケアに行くようになったりされるんでしょうけど、過去のことなどが見えない状態でそういうコミュニティに入るのは大変なんじゃないかなと思います。
僕らみたいな珍しい存在が現れることで、普段見せない表情を見せざるを得ない状態になるんですよね。女性なら「キャー!」という声が出ちゃうんですよね。だからもうカッコつけられなくなるんですよね。僕らが帰った後も施設の方同士の距離が縮まったりするそうです。そういうところの役割は大きいのではないかなと思っています。
「あの人があんなに手を叩いて笑うなんて」と職員さんに驚かれるんですよね。その姿を引き出す、というのは役割を感じます。
年間だいたい200回くらいの地域活動をやってますね。
あります。ほんと、毎月ご依頼いただく施設もありますが、それはちょっと難しかったりしますね。今お申し込みいただいてもだいたい半年くらいはお待ちいただく状況になっています。
毎年ご依頼いただくところはあり、行けたり行けなかったりはしますが。
去年の年末は行けなかったんですが、クリスマスに北九州の児童養護施設に行っていたりしますね。
それはできれば継続したいな、という思いがあります。特別な日に何か役に立てればと思います。
本当にいろいろと勉強になります。
いろいろな場所で、自分自身の現状と戦っている人がいるんだな、と思います。いろいろな境遇の施設からご依頼いただくんですが、例えば聾唖者の方の施設だと、どうすれば伝わるだろうかということを考えさせられたりしますし、要介護4以上の方が多い施設だと目に見えてのリアクションはなかったりします。何かわずかでも感じてくれているのではないかと思いながらパフォーマンスをします。
それぞれ、皆さんが戦っているんだと感じます。
それが一番です!
講演でもたまに話すんですが、ある障害者施設で僕がいよいよ入場するぞ!というタイミングで、興奮しすぎて全裸で歓迎されたことがあります。大歓迎です。そんなことすることないじゃないですか。嬉しすぎて全裸になっちゃった!みたいな。
それくらい喜びを感じて表現してもらえたというのは、なんか本当に感慨深いものがありましたね。ここまで喜べたことは自分にあったっけなって。
全ての人が先生だなと感じます。
涙を流される高齢者の方もそうですし。男の裸を見て泣くって、無いじゃないですか?(笑)僕らには想像ができないような価値を感じてくださっていると思うと、僕らもまだまだ未熟で青いんだなと思ったりしますね。
あります。それぞれのキャラクターがありますので。
玄海という怖い顔の選手がいるんですが、やっぱり怖いんですよ。だから、子ども向けじゃないんですよね。
保育園、幼稚園にはよく行きますが、玄海に限らずですが、3歳以下は基本的には難しいです。
園には先に、絶対に泣いてしまうと伝えるのですが、それでもいいから来て!って言われるんですよね。で、結局行くと泣かれてしまうんですよ。ほら〜と思うんですが、それでも子どもたちに何か一石を投じたいという気持ちですね(笑)
ほら、怖いでしょ。この顔。ホントは良いやつなんですけどね(笑)
一人ひとり個性があります。阿蘇山だったり、ばってんぶらぶらだったり、佐々木日田丸だったり、それぞれ個性のあるキャラクターが11名いまして、それぞれのやり方でメッセージを届けてくれていますね。
カリキュラムとしてのプロレス
週に1回、古賀市にあるフリースクール玄海という、不登校の子どもたちが集まっている全寮制の学校があるのですが、授業の1コマを我々が担当をしています。
1年間の授業を通して、プロレスを作ります。
彼らがやっているのは、勝ち負けも含めて全てが決まり事として固まっていて、見に来た人に感動を与えるエンターテイメントとして作っています。1年間で作り上げて、最後には親御さんを呼んで披露する、という活動です。
そうなんです。
最初は基礎体力の養成、受け身、技の練習…。
彼らの場合は全て決めてやるので、スムーズな技をつなぐ流れや、リハーサルをやったりもします。
それを自分の体を使ってやる、ということですね。社会の疑似体験だと思っています。選手をする人もいればリングアナをする人もいますし、演出をみんなで考えたりします。
そうです。みんなで一座となってやるということです。
施設慰問よりも早かったんです。実は。
ご縁があり、授業を受け持ってもらえないか、とご相談いただいたことがきっかけでした。
創業時からずっとやっていますね。15年やっていますが、最初の5年間は僕がやりました。
そうですね。
最後のゴールは決めていましたが、試行錯誤でした。今は流れができましたけど、最初は無我夢中でしたね。
強制的に触れ合える環境を作るというのは良いと思うんですよね。今の若い人はなかなか触れ合わないですから。
山登りと一緒!?プロレスでの人材育成
コロナ以降はやれてないですが、営業パーソン向けの研修をやってました。
中小企業の社長さんが、みんなとの距離を縮めたいということでご依頼いただくことが多かったです。山登りみたいな感覚ですね。
2時間位の枠で、めちゃめちゃきついことするんですよ。プロレスのスクワットやプッシュアップなどを延々とやるんです。
そうなんですよ。やるぞ!って言った社長が一番にぶっ倒れたりするんですよ。そうすると、社員さんも普段見れない社長の情けない姿を見ることになったりします。社長さんが意図したところじゃない部分でみんなの距離が縮まったりしますね。
本当にたくさんの会社さんが受けてくださいましたね。
音も光もあって、なので僕らとしては総合芸術じゃないですけど、そういうつもりでやっていますね。
選手それぞれに、こうだったら良いんじゃないかというものがあったりします。
それが大前提です。プロレスって演劇とは違って、決められた役じゃないんですよね。自分としてリングに立っているんです。
ワケわかんないでしょ(笑)
この風変わりな産業が日本においては70年も継続してきたわけで、その価値を世の中に訴えていきたいなという想いがあります。
さまざまな場所を元気にする九州プロレス
プロレスファンの方も一見さんも一緒に楽しんでもらえるのが理想だなと思っています。なかなか難しい部分はあるんですけどね。
まずは「やりたい」という想いからスタートしていることが多いですね。ただ、意外とやれる会場は限られていて、条件が合うところを探すのに苦労したりもします。
特別企画としてはあったりもします。
簡単に言うとその流れです。
まだ、ほぼ、という段階ですけどね。
年間150試合やっている団体もあるので、もうちょっと増やせるかなと思ってますね。
ないですね〜(笑)。世の中で戦ってくださる方がヒントをくださるんです。
だから、僕の中から出てくるのではなく、そういう人たちの存在が僕を作ってくれています。
僕が想像できていないことがまだまだ出てくるんだろうな、と思ってます。
限界集落、過疎地、離島などでやりたいです。本心としてはもっとそっちでやりたい。
そのためにはお金の蓄えを作らないとな、と思ってますね。
去年、全校生徒17名のところに行く機会もあったのですが、そういうところに行きたいです。そういうところは活力を求めているな、と感じました。
2トントラックに入ります。離島に行くときも2トントラックに乗せて行きました。
ドームを持っていくわけにはいきませんが、僕らは2トントラックだけで済むので行けるんですよね。
僕らが行くことによって、こういうところで頑張っている人、戦っている人がいるということも知ってもらえると思うんですよね。今は九州というエリアでやっていますが、日本全体、世界にも元気を届けていけたらなと思います。
プロレスを無料で見せるなんて好き勝手な運営をさせてもらってますが、これが今のところ一番元気を届けられるスタイルかな、と思ってます。
あれですね。
九州プロレスといろいろTVが、「九州ば、、、」
元気にするバイ!
〜第34回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜
九州の象徴 筑前りょう太さんをゲストに九州プロレスのことをいろいろ聞いちゃいました。
そして、九州プロレスのいろいろな活動に興味があり過ぎて、筑前さんが大好きなプロレスのお話をほとんど聞かずに1時間が過ぎてしまいました。筑前さん、この場を借りて、ごめんなさい(笑)。
PayPayドームでの大会もとても楽しみです。
『いろいろTV』を入れて、「九州ば元気にするバイ!」をやってもらって、とても嬉しい時間でした!