いろいろ社の「いろいろTV」はいろいろ社代表の青木が気になる人に、いろいろなおはなしをお聞きするオンライン番組です。
第43回目は、岡崎医療刑務所所属の管理栄養士で、『めざせ! ムショラン三ツ星 刑務所栄養士、今日も受刑者とクサくないメシ作ります』の著者でもある黒栁桂子さんをゲストにお迎えして、刑務所での食、書籍の出版や映像化についてなど、いろいろおはなしをお聞きしました!
目次
お料理の世界に踏み出したきっかけ


はい、こちらこそよろしくお願いします。


私は岡崎医療刑務所というところに勤務する管理栄養士で、勤務して14年目になります。
主な仕事は給食管理です。給食の献立を作成して、材料発注して…といったことをしています。
世間ではあまり知られていませんが、実は刑務所の給食は受刑者自身が作っています。そのため、料理ができる人とは限らないので、彼らに料理を教えるのも私です。だから、周りからは「えー、怖い思いすることないの?」って聞かれたりします。
青木さんもそうでしたが、名刺を出すだけでだいたい覚えられますね。そこはすごくありがたいと思っています。


はい。前職は学校給食です。小学校に勤務し、かわいい子どもたちの給食を管理していたのですが、いきなり、ちょっと野蛮というか別の世界に踏み込むことになりました(笑)


学校給食の前もずっと管理栄養士として働いてまして、老人ホームや市民病院です。それから、料理の講師みたいなことなども含め、いろいろやってきました。


もともと小さい頃から料理が好きだったんです。
料理を好きになったきっかけは、両親が共働きでちょっと忙しくて、おばあちゃんに面倒を見てもらうことが多かったんです…。そのおばあちゃんの料理がですね、、、めちゃくちゃまずかったんです(笑)



そのまずいお料理食べるぐらいだったら、自分で作ろうって考えるようになり。
保育園のときからですかね、いろいろ試行錯誤をはじめて、自分でおやつを作るようになり、小学校低学年の時には遊びに来た友達にドーナツ揚げておやつにしたり。小学校低学年で魚の三枚おろしとかできたりとかして。


住んでいたところが田舎だったんです。
だから、歩いて行ける距離にスーパーとかはなくて。でも、田舎なので倉庫には食材があるんです。例えば、ジャガイモが転がってたり。だから、それを切って揚げればフライドポテトはできるんですよ。


でも友達のお家に行くと、スナック菓子とか出してくれるんです。あのおやつは羨ましかったですね。


一通りの料理はできましたね。例えば、肉じゃがやオムライスは作れました。


レシピ本か、母のお手伝いをしながら覚えていく感じですね。
小学校高学年ぐらいになるとお菓子作りとかも始めるんですけど、最初にレシピの材料を揃えて、レシピ読みながら、順番通りに一番二番、三番って料理をしていくじゃないですか。
で五番とかで一晩寝かすって書いてあるんですよね、、、
「今日はできんのかいっ?!」みたいな(笑)
最初に全部読んでからじゃなくて、作り始めちゃうのでそういうことはありました。


高校生の時に結構な進学校に行ってしまって、運良く入れちゃったんですね。クラスで一人か二人は東大に行ったりするような学校でした。
でも、私は落ちこぼれてしまったので、だからもう手に職しかないと思って。それで、資格を取れる学校にっていう感じで進路を決めました。
言葉選びのセンス


そんなにわざと狙ってるわけではないんですけど、そう言われることは多いですね。


どうなんですかね。人を笑わすことは割と好きでしたが。
刑務所の中の人を、リピーターさんとか、ビジターさんとか呼んだりとかですかね。


一般の人に説明するにはわかりやすいかなと思ってですね。
専門用語で言うと、累犯受刑者とかって言い方になりますが、なんかそれだと固いし、面白くないじゃないですか。リピーターさんとか言った方がわかりやすいですよね。


きっかけはずっと給食を作るような仕事をしてきたので、反発心でしょうか。
刑務所の食事って「クサイ飯」って言われるじゃないですか。
でも、実際に作り手の側になったら、クサイ飯なんて言われたくないわけで。臭くねーよって言いたくて。だから最初は本のタイトルの予定も「臭い飯なんて言わせない」みたいな感じでした。
それから、刑務所の中の管理栄養士の仕事が世間では知られていないんですよね。私たち専門職は万年平社員なんですよ。昇格しないというか、昇給の対象ではないので、職場では立場が低く見られたりするんです。だから、認められたい。でも、職場ではなかなか認められないなっていう思いがありました。
上司は刑務官ですし、なかなか難しいかなとも思い、刑務所の中で認められることは諦めよう、世間一般に認められる方がいい!そう思って、本を書きました。


いっぱい怒られました(笑)
私はもともと刑務所で働きたいと思っていたわけではなく、前職が任期満了でさよならって感じになってしまって。それで求人検索したら、出てきたところが刑務所でした。
なので、志高く受刑者のために食事を作ろうっていう思いは全くなかったんです。
刑務所のご飯ってあのクサイ飯か?そうか、クサイ飯作る仕事なのか。なんか嫌だなー。誰からも評価されないんだろうなーって思ってしまっていました。
でも、私が初めて提案したメニューを受刑者が食べた時、「うまかったっす。」「あれをもう一回食べたいっす!」とかって言ってくれたんですよね。そのあたりからすごくやる気になってきました。


ほとんどの善良な市民は刑務所のことなんか知らないじゃないですか。でも、受刑者の子たちが美味しいって言ってくれて。
調理をする場所は炊事工場といい、炊場(すいじょう)と略すのですが、一緒に炊場に入った子が、「また作りたいです」とか、「家族に作りたいのでこれの作り方を覚えて出ていきたいです」って言ってくれるんです。
評判の良い給食の場合は、炊場担当の子が他の受刑者から褒められたりもするんですよね。
ケーキなんかを作ったら、「昨日のケーキ誰が作ったんだよ?」みたいな感じで、そうすると、炊場担当の受刑者が「俺、俺!」ってなるみたいなんです。自慢したくなるというか、すげえなって褒められて、じゃあ、次はもっとすごいの作ろうぜ、みたいな空気になります。
そして、「先生、もっと美味しいのを作りたいから教えてください」って言ってきて、やる気がどんどん上がってくる。そういう様子を見ているとすごくかわいらしく、何を教えてあげようかなっていう気になりますね。


はい。最初は私もわからないので、前任者が立てた献立を踏襲してやっていくっていう感じでした。学校では当たり前だったことを刑務所に持ち込もうとしても、それはダメだよっていうようなこととか、やっぱりあるので。
なので、ルールに対しては恐る恐るって感じだったんですけど、ちょっと目新しいことをやってみたら、この管理栄養士さんはこんなのやってくれるんだ!っていう風に見られるようになってきました。
一緒に炊場で給食を作るので、多少お話もするじゃないですか。それで、少しずつ打ち解けて、というか信頼を得ていったって感じですかね。
ま、あれですよ。胃袋掴んでます!


私を怒らせたら飯がまずくなるよって脅しているので、彼らは私の言うことはよく聞くんですよ(笑)
調子に乗ったことを言ってきた場合は、ちゃんと落とします。


そうですね。炊場にいると、各棟の様子は見られないんです。盛り付けに行くときにたまに見られる程度なんです。
でも、配食といって、例えば学校でいうと「三年一組さんの給食当番」がいるじゃないですか。そんな感じで、居室の棟ごとに給食当番さんがいるので、その人たちが「今日のメニューは歓声が上がりました!」って教えてくれる時もあります。
そういう時は、やった!って感じになりますね。


一番気をつけるのは調理の腕ですかね。
学校給食の場合だと給食の調理スタッフがいて、その方たちは調理のプロなので、材料さえきちんと整えてお任せすれば、ちゃんとしたものができるんです。
ただ、今の場所ですと、「うちの息子たち」って私は呼んでいるのですが、うちの息子たちはですね、とんでもないものを作ってしまうときがあるんです。
予想と反するものができることがあるんですよ。なので、ちゃんと作り方も彼らができるような簡単な内容にして、かつ、誰でも理解できるような手順としてきちんと書いておかないといけないですね。


例えば、混ぜすぎちゃって。なんかこうゲ◯みたいな感じに仕上っちゃうことも。それを私が言うと、彼らに注意されたりします。
「なんかこれゲ◯みたいじゃない?」
「それ言っちゃダメっすよ」とか(笑)

書籍化に向けた作戦


私は、彼らが何をやった人なのかを聞かないで接しています。
殺人だとか窃盗だとか詐欺とかがいっぱいいるんですが、基本的に聞かないんですよ。なんか変な先入観を持って接したくないので。
彼らとは調理を通してだけ接点を持っていて、給食を作る仲間として普通に雑談なんかもします。
でも、調理していて、面白い出来事とかあったりするんですよね。だから、それを家に持ち帰って家族に話すじゃないですか。そうすると、家族にもウケるわけなんですよ。
例えば、仲の良い友達に話しても、すごく驚かれたりとか、笑われたりとか。
こんなおもしろい話を私一人で留めていくのはもったいないって。そう思ったことも本を書こうと思ったきっかけでした。


なかなか入れないですからね。うちはね。


本については、例えばイラストとかもすごいポップな感じにしました。


野次馬根性的に手に取ってもらいたいっていう気持ちがすごくあるんですよね。
罪とか罰とか、そういうところから入っちゃうとなんかお堅くなってしまいますし、全然知識がない人にも知ってほしいな、という思いがあります。
刑務所に関して全然知識がない人に、こう、なんというか、、、刑務所入門じゃないですけど。
これ知ったからって何の役に立つかって言われたら、何とも言えないんですけどね。ただ、刑務所の中の人たちもある意味普通の人だよ、ということを感じていただければなという感じですね。


刑務所の中のことをどれだけ外に出して良いか、という葛藤はいろいろありました。守秘義務があるので。
だから、進め方がわからないじゃないですか。なので、すごく段階を踏んだんです。世に出すためにしっかりと戦略を練りました。
SNSなんかに書いたら炎上してしまう可能性がとても高い場所ですし、なので、出版一択だったんですよ。


ただ、出版一択にしても、どうやって情報を出していけばいいのかなと考えました。
まずはうちの業界の月刊誌みたいなのがあるんですけど、そこに私がレポートを執筆して掲載してもらったんです。


『刑政』といって、刑務所や拘置所で働いている人たちが読む業界紙です。刑務所の取り組みみたいなものを掲載している機関誌です。ちなみに、『刑政』は職員だけじゃなくて、一般の人も読める雑誌なんです。
上司の決裁とかを受けた文章や、上司の決裁を受けた写真も載せることができるので、寄稿する文章は真面目な感じのレポートを出しました。


まず最初は、真面目なものを出して…
次は、管理栄養士さんたちが読むようなコラムを掲載している民間のメディアに執筆したい、と上司に申し出て。
これまで業界紙にこういう執筆をしました、という実績を元に、さらに上司に執筆の許可を貰い、栄養士のための栄養士業を目指す人たちのメディアのコラムにも掲載してもらい、掲載される媒体が広がりました。
こうすることで、公的に、かつ、一般向けに、上司の許可を得た上での文章を公開することができました。
これならば、ちゃんと許可を取ったうえでやっているので、守秘義務違反にもならないので。


そうして実績を積んだ上で、これまでの実績と出版の企画書を出版社に提出しました。


3年くらいかかりましたね。


下手にSNSに投稿して、炎上しちゃって飛ばされたっていう人はいくらでも知ってますし。そういう目には遭いたくないので。


そうです。出版してから気付いたかもしれないんです(笑)


そう言われてみれば、結構前代未聞なことしちゃったのかな?って後から思いました。


朝日新聞出版さんは、通常は実績のない人の出版の企画書は即ゴミ箱行きらしいんです。
私は以前、朝日新聞出版が出版した、女子少年院を出た女の子の物語を読んでいまして。その本のタイトルと担当編集者様宛と記載して、その本の感想と一緒に企画書を送付したんですよ。そうしたら、担当編集者さんに興味を持ってもらえたみたいで。
朝日新聞出版御中で企画書在中だけだったら、間違いなく即ゴミ箱行きだったみたいです。


私が所属しているコミュニティの中で、出版される人が結構いまして。
実は私はもともと起業したいっていう願望があったんです。栄養士として起業したくて、いろいろな分野をとにかく経験しようと考えて、学校や老人ホームなど、いろいろなところで働いていました。
でも結局起業はできなくて、その間に離婚することになって、それで安定の職に就かなければ、ということになり。
今でもそういう気持ちがあるから、青木さんと出会うようなああいう場所に行くわけですよ。

獄旨ドーナツ商品化計画

刑務所での経験をもとに、他にもまだまだやりたいことがあります!。


刑務所の製品などを商品化したりとか、ブランド化したりとかしたいなと。


この本の中にもレシピが載っている「極旨ドーナツ」を、まずは商品化したいなと思ってるんです。



そういえば、獄旨ドーナツを早速このレシピ通りに作ってくださった方がいるみたいで。
それがYouTubeにアップされていたんです。


ただ、めちゃめちゃ失敗してるんですよ。その人。


このドーナツの作り方って水分がポイントなんです。書籍にもちゃんと水分に気をつけてって書いてあるんです。
でも、ワンポイントアドバイスみたいなやつってやっぱり読まないんですよね。きっとね。


話を戻しまして…
多くの刑務所では、秋にイベントをやるんですよ。9月〜11月くらい。
うちの近隣ですと名古屋刑務所で矯正展というイベントがあり、そこで「獄旨ドーナツ」を販売することになりました。二日間は私が売り子をやります!
この日は公務員だけど土日出勤です。


そうなんです。はい(笑)
「ミスド」から、「パクったってんじゃねえの?」みたいな感じで怒られるぐらいの方が有名になっていいなと思ったんですよね。


そうなんですよね。でも、今回はそれを私がやったんではなくて、上のイベント係の方が起案してくださって。


最初は私の本に対して協力的でない、よく思われていないんだろうなっていう上司とかもいました。
なんか、嫌がらせがあったらどうするんだとか、刑務所が緩いところみたいになめられたらどうするんだとか。
何回も呼び出されていっぱい怒られたんですけど。でも、応援してくださる人の方が多くて。
新聞取り上げられたりだとか、いい評判の方が多いんですよ。なので、最初は私のこと煙たい存在みたいな感じでしたが、最近はみんなどんどん乗っかってきたんですよね(笑)


ちなみに、この「mushodo」のパッケージのストライプの柄がありますが、この柄は刑務所のお布団の柄なんです。全国共通です。だから「卒業生」だったら、懐かしいって思うはずなんですよね。


使い方によっては、かわいいデザインになるんじゃないかなと思っていて。


そうです。私が作るのではなく、ドーナツ屋さんに委託して同じレシピで作ってもらうっていう予定です。これは初めての試みなんですが、売上の一部が被害者支援団体に寄付されるとか、そういう仕組みを確立していければ良いなと思うんです。

黒栁流 ムショラン妄想術


こういう妄想ってめちゃくちゃ楽しいんですよ。
おかげさまで講演の依頼もすごいありまして。


昨年度は公務員をやりながら、年間40回講演に行ってるんですよ。


10人程度のお茶会みたいなものから一番大きいのは中学校でやった講演会ですかね。全校生徒500人ぐらいの前で講演とか。
講演活動、ドーナツの商品化、そして、ドラマ化のお話をいただいてます!今は、ここまでしか言えないんですが…。



脚本家の方が私の本を読んで、それでテレビ局に何か企画を出されたみたいで、それが通ったっていうことらしいんですよ。
その話が出版社を通じて、私の方に連絡来るって感じでした。企画が通るっていうのもすごい倍率らしく。
私の担当編集者さんも、この本には思い入れがすごく強くて。ドラマ化っていうのはフィクションなんですね。
私なんかは、ドラマ化してくれるんですか!どうぞどうぞ!って感じなんですが、担当編集さんからは「黒栁さん、それじゃダメ!こういうのはいいとか、こういうのはダメっていうのはちゃんとしておかないと」みたいなことを言われたりします。


フィクションといえども、あまりにも突拍子のない話だと、なんかちょっとそれはよろしくないんじゃないんですか?みたいなことを、ちゃんと言ってくださるんです。


はい。すごく言ってくださったおかげで、うちの関わる上司の方でも偉い人がちゃんと監修として入ってくれることになったんです。


本を出版したあと、「ドラマとか映画になったら面白いよね」って言われていまして、そう言われたら、すぐ次の妄想が始まってるんです!
イケメン受刑者は誰がいいかなとか、意地悪上司は誰がいいかなとか(笑)

ワードセンスと妄想の妙


日本全国全都道府県行きたいなって思っています!


そうですね。一般の人には刑務所への偏見をなくしてほしいという想いはあります。
刑務所にいる人って、いずれは社会に出ていく人たちを私たちが一時的にお預かりしてるみたいなところなので、いずれは社会の一員としてこんな人たちが行きますけども、よろしくねみたいな気持ちを込めて話してます。


よく講演の依頼があるのは更生支援という、刑務所を出た後の元受刑者たちを支援するような団体の方からですね。保護士さんや民生員さんとか、そういう人たちの団体からの依頼が結構多いです。
そういう方たちへの話の場合は刑務所を出た人の扱い方などをご存知なので、そういう場ではちょっともうちょっと踏み込んだ専門的な話もしたり。


私は自分の母校である中学校で話をしたのですが、その時のキーワードは「だからこそ」っていう言葉でした。
「でも」「だって」「どうせ」という三大ネガティブ言葉ってありますよね。
「どうせ…」とかって、ネガティブな言葉しか後ろに続かない。そういう言葉ばかり言ってると本当に言い訳ばっかりする人生になっちゃうよみたいな話をしました。
例えば、刑務所の中で実際に私が受験者にかけた言葉がありました。
「だって、どうせ俺ら出たって、いい仕事なんかつけるかどうかわかんねえし」みたいなことを言うんですよね。出所が間近で、気持ちが不安になっている子がそういうことを言うわけですよ。
その時、私は「こんな刑務所みたいな、嫌なところっていうか、規則が厳しい、そんなところで三年も我慢してちゃんとできた君だからこそやれることもあるでしょ!」って言ったんですよ。
その子にはちょっと響いたみたいで、「そうか、俺こんな厳しい生活ちゃんと我慢してやってこれたな」みたいに思ってくれたそうです。
だから、嫌なことがあって、「でも」とか「どうせ」とか「だって」とか、逃げたくなることがあるかもしれないけど、「そういう自分”だからこそ”、”だからこそ”って言葉を使うとマイナスをプラスに変えられるんだよ」みたいな話をしましたね。


中学校だとちゃんと感想文を送ってくれるんです。
「だからこそ」っていう言葉を使って、自分でも嫌なことをプラスに考えてみようと思いましたっていう風にやっぱ書いてくれました。


いえいえ、ありがとうございます。
「ムショラン」なんていう言葉も私が作ったんですけど、出版社さんの企画会議でタイトル決めのときにも「これは秀逸だ」って褒めてくださったんだそうです。このまま使いましょう!ってことになりました。
でも、ムショランって、ミシュランのパクリじゃないですか(笑)
なので、ミシュランから怒られないかどうか、法務とちゃんと相談しますとか言われて。そのあと、どうやら大丈夫そうです!ってことになって今に至ります。



もうなんかね、怒られ慣れちゃって(笑)


何言ってんのこいつ、とかって思われたら嫌なんですけど。


もう次は流行語大賞みたいな。


授賞式に何を着ていこうかなって妄想しています。


ドラマ化もそう!主役の女優さんは教えてもらったんですよ。
その方を最近テレビで見ると、なんか見た目を自分から寄せていってしまおうかなみたいな気持ちになります。同じ髪型にしようかな?とか、なんか寄せてこうかなとかって思ってる自分がいるみたいな。


撮影現場とかも、見学させてもらえるんだったら一緒に写真撮らせてもらいたいなとか。


その時は、また何着ていこうとか思っちゃいますよね。
それと、知名度が上がったらムショランガイドっていうのを作りたいなと思っていて。


いきなり全国というのも難しいので、まずは自分のいるエリアからですかね。
中部北陸の人たちからそれぞれのメニューを集める感じで。
例えば、岐阜刑務所とか、三重刑務所とか、それぞれやっぱ人気メニューってあるんですよ。それを家庭でできるようなレシピにして、それでガイドを作ったらいいかなとか。エピソードを添えたりしてね。
本の第二弾はないの?みたいなこと言われるんですけど、それについては私はちょっと逃げに走ってるんです。
初出版が意外にも好評で、ちょっとハードルが上がったわけですよ。
自分を新人作家だなんて思ってないんですけど、そういう状態で第二弾、第三弾を出したら、絶対ショボいと言われたりして、落ちぶれると思うんですよね。
「こいつ絶対調子に乗ってる」思われたりするのも嫌ですし。だからガラッと変えて、今度はレシピ本とかにした方がいいかなって思うんですよね。

今後の展開。爺メン75!?


はい。私、料理ができない男性に料理を教えて、その人が喜んでくれるっていうところにめちゃくちゃ喜びを感じるんだなって気付いて。
なので、将来はおじさん食堂っていうのをやりたいと思っていて。


子ども食堂じゃなくて、おじさん食堂。
おじさんの、おじさんによる、おじさんのための食堂。
おじさんが作って、おじさんをもてなすみたいな。


ネーミングももう決めてるんです。


これは他でも言ってます。もう講演のたびに言ってるんですけど。
青木さんっておいくつですか?世代によってはわかんないかもな〜。


ギリギリわかるか、わかんないかかな。
Gメン'75って知ってます?


そう、50代以上じゃないとね。わかんないんですよ。これ。
1975年にやってた刑事ドラマのシリーズ。だから、もう50代以上だったら絶対にわかるんですよ。BGMも頭に浮かぶんですよ。


で、ネーミングは「爺メン75」!
じいちゃんも、メンズも、75歳でも!っていう風にちょうどしっくりくるんですね。
反応する世代がターゲットっていうのもハマるんですよ。


爺メン75で、CM動画とかも作れるなって思ってしまうし。
その当時のやつが誰でも頭に浮かぶ動画の感じで。
そういうのも勝手にふっと思いついて、妄想してニヤニヤしている時間が好きですね。




そうですね。自分が食べたいものだけじゃダメです。


そうなんですよ。50代以上なら、もう誰でも知ってるドラマなので。
フランチャイズじゃないですけど、ご当地爺メン75があって。


刑務所のネタで面白がることが不謹慎って言われたりもするかなって思ったのですが、この本、ちょっとホロッとさせるところもあったりするじゃないですか。自分で褒めるのもなんですけど(笑)
そういう部分も、わかってくださる方はわかってくれるんだなと思っています。
なので、ブランド化じゃないんですけど、何か商品を作って、それがちゃんと売れる仕組みができたらいいなと。
刑務所の中って、いろいろな民間企業などから仕事をもらって作業をしていますけど、最近はその仕事も減ってきたと聞いています。自分が携わったものが商品として売れているんだっていうのを思うと、仕事へのやる気になるんじゃないかなと思いますし、更生につながるんじゃないかなと。
一見ふざけてるっていう風に思われるかもしれませんが、ちゃんと考えてんだぞと。そういう想いですね。


そうそう!実は見学ができます、刑務所。
一人でふらっと行って見せてくれっていうのはダメですよ。
ちゃんとコミュニティとかでまとめていただければ、団体様を受け付けてます。初めての団体だと、なんかいろいろ聞かれるかもしれませんけど。
地域の方にも理解していただかないといけないので、刑務所側も開示していっています。


なので、お近くの刑務所によろしかったら。だいたい9月〜11月の間にやってたりします。

〜第43回目の「いろいろTV」を終えた青木の振り返り〜
黒栁さんの言葉選びのセンスが素晴らしく、ツボにはまって楽しくも、へぇと思うこともたくさんお話しいただき、お腹いっぱいになった『いろいろTV#43』でした。
おじさんのおじさんによるおじさんのための食堂『爺メン75』、若輩者のため、訪問資格が微妙ですが、訪問させていただきたい名店の予感(笑)
妄想計画が着々と進んでいる『ムショラン』の次の展開。ドラマ化が待ち遠しいです!
『めざせ! ムショラン三ツ星 刑務所栄養士、今日も受刑者とクサくないメシ作ります』を読みながら、発表の日&放映の日を楽しみに待ちましょう!
キャストが発表された時、黒栁さんの寄せられ具合いも密かな楽しみに(笑)
そして、2026年は「ムショラン」が流行語大賞を!